海外の公衆トイレでは、男女の別なく誰もが使える「オールジェンダートイレ」がここ数年で急増しています。
その背景にあるのは、さまざまなジェンダーへの配慮です。
「身体の性別で割り当てられたトイレに抵抗感がある」と感じるトランスジェンダーの人への配慮も含めて、誰もがニュートラルに使えるトイレは今後も増えていくと考えられます。
日本でも男女共用トイレを導入したの公立小学校の事例がすでにありますが、もし職場や子どもの学校でオールジェンダートイレが導入されたら…あなたはどう感じますか?
そして「暗い」「汚い」イメージがあった学校のトイレは近年どう変化しているのでしょう?
前編「
なぜ学校に『男女共用トイレ』という選択肢が必要なのか」に続き、学校トイレの実態を四半世紀にわたって調査・研究してきた「学校のトイレ研究会」事務局の井尾加奈子さんにお話を伺いました。
個室を使いづらい男子も救われる
── 欧米では性別に関わらず使える「オールジェンダートイレ」が増えているそうですが、日本の学校のトイレでもその動きはありますか。
井尾さん:
校内の全トイレがオールジェンダートイレ、という学校はまだ聞きませんが、校内の一部に男女共用トイレを設置する学校の事例はいくつかあります。
先進的なケースとしては愛知県豊川市の公立小学校が有名です。
入り口は同じでも中に入ると個室が連なっていて誰がどこに入ったかがわかりづらいトイレ空間や、性的マイノリティの子どもへの配慮も含めて誰もが使える「みんなのトイレ」の設置、個室完結型トイレの増加など、安全に利用できて、かつ誰かを排除することがないような工夫を凝らした試みが見られます。
── トランスジェンダーをはじめとした性自認でひそかに悩む子もそうですが、「”大”だとバレるのが恥ずかしいから個室を使えない」という男の子にとっても、個室完結型トイレが増えることはいいことでは。
井尾さん:
はい。排泄はとても大切なことですが、男子が個室を利用する=大便をしたと決めつけてからかわれる、というケースはやはり昔から多いようです。
そうした問題をなくすためにも、男女共用で使える個室完結型トイレが増えること自体は歓迎されることだと思います。