保護者同士は適度な距離感を保つ関係性が大切

虻川さん:
小学校に入って息子の友達関係が変われば、新しい保護者の方とのお付き合いも始まりますよね。保育園が小規模だったので、小学校では人数も増えるし、うまく関われるかが心配です。

 

長谷川さん:
保護者との関係は、つかず離れず適度な距離感を保つことが基本。子ども同士が友達でも、保護者同士が友達である必要はありません。仲が悪くなければいいのです。プライベートのことまで立ち入りすぎると、LINEでのいじめなどトラブルに発展してしまうこともあります。

 

学校内でコロナの陽性者が出た場合などは、保護者のネットワーク内で「誰が陽性者になったのか」など追跡がはじまるかもしれません。そんなときも、冷静になってスルーが一番。

 

ただ、保護者同士のつながりは情報源になりますよね。価値観の合いそうな人、信頼できそうな人がいれば、「学校のことでわからないことがあったら教えてくださいね」とお願いしてみるといいと思います。

 

虻川さん:
いい情報をくれるママさんには、いまもすごく助けられています。先生のお話を聞いて、だんだんと不安が解消されてきました。

 

長谷川さん:
親御さんの不安は、学校生活の説明会や、担任の先生、ママ友との交流で少しずつ解消するはず。親子ともども、焦らないことです。

 

親とは、生涯にわたってわが子を心配する生き物。でも、わが子の人生は、別個の人間である親がいくら心配しても変わらないんですよ。だから、心配がよぎったときは「私はこんなふうに心配してるんだな」と俯瞰して、心配を手放す方がいい。その代わりに子どものできることを数え、成長を信じてあげて。

 

悩みごとでメンタルをやられそうなときは、共感できる友達やパートナー、親、きょうだいなどに吐き出して。担任の先生からスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーにつないでもらって保護者自身が相談してもいいし、自治体の相談窓口に頼ってもいい。一人で抱え込まず、周囲と一緒に子育てをしていきましょう。

 

PROFILE 

虻川美穂子(あぶかわ・みほこ)さん

1974年生まれ、埼玉県出身。1995年、お笑いコンビ・北陽を結成。2015年に第1子となる長男を出産。2020年にはYouTubeで「北陽チャンネル」を開設した。著書に「北陽の“母ちゃん業"まっしぐら!」(主婦の友社刊)がある。

 

長谷川かほる(はせがわ・かほる)さん

東京未来大学特任教授。東京都内の公立小学校教諭、副校長、校長を経て現職。大学では、管理職歴15年の経験を活かし、教員を目指す学生たちの指導を担当している。著書に「保護者対応12か月」(小学館刊)がある。


取材・文/有馬ゆえ カメラ/高倉千鶴 スタイリスト/野田奈菜子