ひらがなや数はどこまで準備しておけばいい?
虻川さん:
小学校に上がる前に、ひらがなは書けた方がいいんでしょうか。
長谷川さん:
小学校生活のスタート時に必要なのは、自分の名前を読み書きできること。今は入学前にひらがな、カタカナの五十音をマスターしている子も多いですが、それにこだわって勉強を強いると、「小学校って嫌なことをする場所なんだ」「勉強って楽しくないんだ」という気持ちにさせかねません。
ひらがなは入学してすぐに習うもの。入学後に初めて学習する子は吸収が早く、先取り学習をしている子にもすぐに追いつきます。
虻川さん:
数字はどうですか?
長谷川さん:
算数的な知識としては、「1」が「ひとつ」を、「2」が「ふたつ」といったように、数字を見て、その個数の数を意味することがわかっていればいいかなと思います。
数字自体は、1から12までを読めるようにしたいですね。学校では、時計を見ながら「長い針が6までに○○しよう」といった指示に沿って動きます。自宅でも、文字盤のある時計で練習できるといいですね。
虻川さん:
「長い針が△までに」というのは保育園でもなじみがあるようです。ほかに、学校生活の準備は何があるのでしょう。
長谷川さん:
意外に苦労するのが、20分ぐらいで給食を食べきること。入学して1~2か月は、給食の時間を少し長めに取るものですが、自宅でもおしゃべりせず20分で食事を終える練習をしてみてください。
箸も正しく持てるようにしたいですね。鉛筆もしっかり持てるようになり、字の上達が早くなります。好き嫌いがあったり小食だったりするのは問題ありません。最近の給食は、食べられないものは先にお皿から戻し、自分に適した量を食べるという指導が主流ですから。
トイレの着脱についても練習しておくとよいでしょう。ズボンとパンツを膝まで下ろして便器に座ったり、男子は男子用トイレを使ったりできるようにしておきましょう。
翌日の準備・登下校の不安は…
虻川さん:
小学校に入ったら、持ち物の管理も自分でさせたほうがいいですよね。
長谷川さん:
そうですね。自分でランドセルにしまうと何がどこに入っているかがわかり、学校生活がスムーズに進みます。翌日の身支度は、子どもが自分でできるようにしたいものです。
ただ、「小学校に上がったんだから全部自分でやりなさい」と最初から子どもに任せきりにしてしまうと、忘れ物をしがち。それで叱られれば、登校のモチベーションが下がってしまいます。最初は保護者が一緒にやってあげて、自分でできるようになったら少しずつ手を離すようにするのがよいと思います。
準備として、保育園、幼稚園の登園準備を一緒にするのも手。園で物を棚に入れるのも、子ども自身ができたらいいですね。
虻川さん:
朝は忙しいので、準備はすべて親がやってしまっていました。でも、小学校でバタバタするより、今やっておいたほうが後々楽ですね。入学後、送迎はいつまで必要ですか?
長谷川さん:
入学直後は集団登校があったり、6年生が迎えに来てくれたりする学校もありますが、コロナの影響でなくなるケースも。どちらにせよ、登下校に不安がある子へは本人が「もういい」と言うまでは送迎してあげていいでしょう。
困るのは、帰り道。迷子になって帰れない子は案外多いんです。入学前には必ず、家と学校の往復、そして学童に行くなら学童から家の道を一緒に歩いて確認しておいてください。