私は人物を描くのが大変に苦手で…。学生時代も石膏像やモデルさんを描く授業ではテンションが上がらず静物画に熱中。ガラスや金属の質感をそれっぽく描くことにばかり夢中になっていました。

今でも暇さえあれば身の回りにあるものの絵ばかり描いていて、そんな母親を見ている子どもたちは私に友達がいないと思って心配しているようです。大丈夫よ、ママはこれが楽しいの。

本当は苦手なのに…気づけば仕事のほとんどが人物画

話がそれましたが、人物を描くことが苦手にもかかわらず、今ではいただくお仕事のほとんどが人物、我が家のキャラクターを使ったものです。これはほんとうに嬉しいこと。おかげでここ数年間、私は毎日ひたすら人物を描き続けることになり、以前よりもずっと人物を描くことが好きになりました。「欲しいのは上手さじゃないんです」という編集さんの言葉も励みになりました。

 

そんな私の本棚(本棚はタブレットの中にありますが)に入っているのはほとんどが作画用の資料と人物用のポーズ集です。ポーズ集がタブレット端末に入っていると、そのポーズを見ながら絵を描くことができるので大変助かります。しかし問題が一つ。

 

リアリティを求めた結果生まれた“恥ずかしい習慣”

私の仕事の多くは家族をモチーフにしたものばかりであり、ポーズ集に登場するスラッとしたモデルさんと私たちとの体型の差が激しすぎる。特にギャグっぽい展開で使いがちなアクションポーズのモデルさんは男性も女性も筋肉隆々で、そのデッサンに私たちの顔を乗せたときの違和感といったら…。

そんなわけで最近は、欲しいポーズを自分たちでとり、それをスマホで撮影するという方法に落ち着きました。身体のたるみ、関節の可動域もリアルでこれ以上の資料はありません。

 

注意すべきは、使用したらすぐに消去しておくことですね。たまにうっかりテレビの大画面で自分たちのポージングスライドショーが始まってしまったりして心臓がキュッとなります。

文・イラスト/横峰沙弥香