日本女性は「性被害にあっても本人の責任にされる」「進路選択やキャリアで性差別を受ける」。残念ながら根強くあるこの状況を、打開してくれるのが、国民の権利を定めた「法律」なのかもしれません。

 

女性が法律を知らずに過ごしてきたことによる課題と、法律を味方につける方法について、弁護士の上谷さくらさんに伺いました。

「トラブルの原因は私かも」と諦めないで欲しい

—— 犯罪被害者の気持ちを汲む弁護を信条にしているという上谷さん。著書『おとめ六法』執筆の経緯にも、泣き寝入りしがちな女性たちを救いたいという思いがあったのでしょうか?

 

上谷さん:

よく、性犯罪被害の講演に行ったときなど「女性を守る権利や法律がわかりやすく一冊にまとまった本はないですか?」と聞かれていたんです。実際、法律書って分厚くて難しくて…そもそも法律は条文が分かりにくくて非常に長いものもありますから、そういう本はなかったですし、まとめるのは無理だろうと思っていました(笑)。

 

でも、出版社さんから「これを見れば簡単に法律がわかる本を作りたい」という企画をいただいて。

 

一緒に試行錯誤しながら、「こういう時はどうしたらいいんですか?」という具体的な相談に答えつつ、それを一冊にまとめた、という感じですね。

 


—— 若い女性向けかと思いきや、読んでみると離婚や教育のことまで書かれていて、ママ世代でも興味深い内容でした。

 

上谷さん:

残念ながら日本女性は、子どもの頃から、痴漢や盗撮などの性被害を受けることが少なくありません。また「女の子だから」という文化に根付いた性差別は、キャリアや進路選択の際にも、可能性を狭められたり正当に評価されないといった、困難が立ちはだかっています。

 

つらい目にあったとき「私が悪かったのかも」と泣き寝入りしてしまう女性は多いんです。そういう時に「こういう権利があるから私は悪くない」「大丈夫、法律が守ってくれる」と知っておくことは、心の支えになりますよね。

 

いざというときに自分を守る法律があることを、女性たちに広く知ってほしいと思います。