コロナ禍をきっかけに、多様な働き方が広まり始めています。働き方はどのように変わり、それに対してどう対処すべきなのか。また、キャリアマネジメントはどのように行っていくべきなのか。

 

これからの働き方にキーワードに「

レジリエンス

」を挙げてくれた大阪大学大学院准教授の中川功一先生に、コロナ時代を前向きに生き抜くための働き方、キャリアプランの描き方について聞きました。

 

PROFILE 中川功一さん

大阪大学大学院経済学研究科経営学専攻准教授。2008年、東京大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。2009年に博士号取得(経済学)。大阪大学にて学生教育を行うとともに、セミナーの開催による社会人教育や、企業との産学連携も行う。また、自身のYouTube チャンネル「中川先生のやさしいビジネス研究」やオンライン講座にて広く一般へ向けた経営学のレクチャーにも取り組んでいる。『感染症時代の経営学』『経営学の教養入門書』『ど素人でもわかる経営学の本』など著書多数。 

21世紀は「管理」から「自律」の時代へ

──これからの働き方は「レジリエンス(危機からの復原力)」が重要だということですが、他にもこれからの時代を生きていく私たちが押さえておくべきキーワードはありますか?たとえば、先生の著書『ど素人でもわかる経営学の本』の中で、20世紀までの経営学は「管理」、21世紀の経営学は「自律」をキーワードとして挙げていますよね。 

 

中川さん:

これは、そもそも経営学について整理してみた方がわかりやすいでしょうね。

 

経営学とは会社の仕組みのあり方を考え、うまく会社を動かすための方法を考える学問です。経営学は時代の変化を捉え、変わり続けています。20世紀に発達した経営学は、イギリスの産業革命に起源を持ちます。地方から出てきた工場労働者を動機づけ、技能を教える。生きるために仕方なく働く人を、組織が「管理」するという構図です。

 

一方で、21世紀の今日の人間像は、もはや産業革命のそれではありません。自己実現のために働く人が増え、自らの意志で能動的に働くようになっています。他者があなたを律するのではなく、自らが自らを律する「自律」(セルフマネジメント)の時代となったのです。

 

加えて、コロナによって自律的な働き方をより問われるようになりました。テレワークがまさにそうですね。仕事においても人生においても、自らを律し、自己管理していけるかどうかが明暗を分けるのは間違いないでしょう。

 

──自律的な働き方を確立するにはどうすればいいですか?

 

中川さん:

第一歩として、「ダイバーシティ」がカギを握ると思います。ひとつの働き方、考え方、生き方に縛られないこと。自律に向けて、多様な働き方、考え方、生き方があることを認識し、その選択肢を持つことです。

 

自分自身だけの問題ではありません。職場にいる仲間、チームのメンバーなど、自分以外の働く人の多様な価値観を受け入れることも大切です。

 

多様な価値観の許容は、より働きやすい自律した組織を育む。結果、硬直した業務にプレイクスルーを起こしたり、新しい製品・サービスが生まれます。そして何より、あなた自身に新しい変化をもたらし、自律を加速させるはずです。