ケース3:夫のケガで家計を見直し

貯蓄ができていない夫婦に話を聞くと、「貯蓄がなくてもこれまで何とかなってきたから」と言う方がほとんどです。ノリコさん(36歳)夫婦も例外ではありませんでした。

 

夫はフリーランスのWEBデザイナーで年収は500万円ほど。ノリコさんもフリーランスのイラストレーターで年収400万円ほどです。

 

二人とも元気で働いているときは、何も不自由なことは感じませんでした。しかしある日、夫が駅の階段から落ちてケガをしたことをきっかけに、家計は大きく変わりました。夫は救急車で病院に運ばれ手術。2週間入院しましたが、足の骨折だけですんだのは不幸中の幸いでした。無事退院してからは仕事にも復帰し、以前同様元気に働いています。

 

しかし、二人はそれまでお互いの収入や貯蓄、保険、社会保障のことなどを把握していなかったことに直面しました。ノリコさんは入院直後、病院から保険証を持ってくるように言われましたが、夫がどこに保管しているかがわからず、部屋中を探すことに。その後、入院中に医療費の支払いが必要になったものの、夫の貯蓄の預け先も把握してなくて、自分の貯蓄から支払うしかありませんでした。

 

夫が回復してから聞いたところ、「貯蓄はしていないが生命保険に加入しているから、そこから払える」という話でした。夫の部屋から生命保険の証券を探して病院に持って行ったのですが、よく見てみると入院1日につき3000円の保障で、全然足りないことにショック。さらに、独身時代に加入したままで、保険金の受取人が実母だったことにダブルショック!

 

元気で働いているうちは、お互いの財布には干渉せずにいられますが、結婚は「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも」続くもの。人生を夫婦で乗り越えていくには、お金のこともオープンにして、何かあった時のための「夫婦の貯蓄」を作っておくべきだと骨身にしみたようです。

 

ノリコさん夫婦はフリーランスで収入に波がありますが、毎月の貯蓄額を設定して貯蓄専用口座に入金。確実に貯める家計を実行しています。退院後は即、保険金の受取人変更をしたことは言うまでもありません。

 

どの夫婦にも、貯められるようになったきっかけがありました。貯蓄をしたほうがいいことは分かっていても、目の前のお金があればつい使ってしまいます。それを乗り越えて貯蓄を始めるには、夫婦なりの目標が必要です。目標を明確にする話し合いをして、貯まる夫婦になりましょう。

 

文/タケイ啓子