なかなか貯金できない悩みを持つ夫婦は多いでしょう。原因はひとつではなく、夫と妻との金銭感覚の違いや、将来への希望のズレなどが絡んで複雑だからです。しかし、あることがきっかけで“貯まる夫婦”になることも。今回はお金が貯まった夫婦にとって、何がターニングポイントになったか、筆者が相談を受けた事例をもとに見ていきたいと思います。
ケース1:ライフステージが変化した
共働き夫婦は、世帯収入が高いにもかかわらず貯蓄ができていないことが少なくありません。筆者のもとに相談に訪れた、アイコさん(29歳)の夫婦も同様でした。夫婦とも会社員として働き、夫は年収600万円でアイコさんは年収400万円、合計で1000万円の世帯年収です。
アイコさんは、「決して贅沢をしているわけではないのに貯蓄ができない」というのです。そこで家計簿を数か月分見せてもらうことに。家計は夫が15万円、アイコさんが10万円を毎月共用の銀行口座に入れて、そこから家賃や水道光熱費、食費、日用品などの生活費、夫婦で楽しむレジャー費などを出す方式。残りは各自が、自分のお金として管理していました。
夫婦共用の口座管理はアイコさん。生活費をやりくりして、余ったら貯蓄に回そうと思っていても、月末には夫から追加の生活費を補填してもらうこともたびたびあったようです。支出をよく見ていくと、節約・改善できる点がいくつか見つかりました。しかし、最優先で見直すべきは、各自で管理しているお金です。夫婦とも自分のお金として自由に使いきっていました。
そこで、生活費だけではなく貯蓄分もお互いに出し合って、夫婦の貯蓄を増やすことを提案しました。しかし、夫婦とも自分が使えるお金が減ることに抵抗感が…。
そんなときにアイコさんの妊娠がわかって状況は一変しました。子どものための教育費を貯めなくてはと、夫婦共通の目的ができたことで協力して貯蓄ができるようになったのです。
以来、夫婦の貯蓄用口座に毎月夫婦それぞれが10万円ずつ積み立てて 、将来に備えています。ただし、教育費は子どもの成長とともに随時見直す必要があるでしょう。また、アイコさんが今後も同様の収入を確保できる働き方ができるか流動的。家計は、家族の状況に応じて見直し続けて、今後も夫婦で将来の希望を共有しながら、貯蓄を増やしていってほしいと思います。
今回は妊娠が転機になりましたが、ライフステージの変化で家計の収支や必要な貯金額は大きく変わります。子どもの入学、新居購入など、数年先にやってくるライフステージの収支を明確にすることで、夫婦共通の目標が立てやすくなるかもしれません。