時間、場所、人…コントロールできるものが多いと仕事の幸福度も上がる!
——女性の働き方をさまざまな角度から支援してきた大東さんにとっての「自分らしい働き方」とはどのようなものでしょうか?
大東さん:
コントロールできるものが多いほうが、自由で自分らしくいられると思っています。自分で働く時間、場所、一緒に働く仲間、そして仕事内容。コントロールできるものが増えると、働き方の幸福度が上がってくるはずです。
特に女性は、ライフとキャリアを両立させたいと願う人が多いので、働く時間と場所をコントロールしたいと考える人は多いはず。その時に、自分の裁量で働き方を変えられることが、自分らしい働き方と言えるのはないでしょうか。
育児と仕事の両立においても、母親が「働きたい」「社会とつながりたい」と思った時に、いつでも外に出られる仕組みを社会全体で作っていかなければいけないですよね。それは企業や社会に求めることなんですが、育児サービスが充実しているとか男性の職場環境がもっと良くなって長時間労働がなくなるとか。
かといって環境が変わるのを待っていたら、自分が自由に働けるのはいつになるかわかりません。「自分らしく働きたい」と思っているのなら、いますぐ行動を起こしてほしいです。キャリアを途絶えさせない方が生涯年収は上がるんです。月数万の保育費用を支払ったとしても、キャリアを途絶えさせないことで、仕事から得られる報酬も上がります。
——産後の仕事復帰のタイミングで悩まれる方も多いですよね。
大東さん:
なぜ女性だけが、「いつから復帰しよう?」と悩まなければいけないのか…。子育ては女性がしなければいけないという概念は変えていくべきです。おじいちゃんおばあちゃんの力も借りてもいいし、海外では積極的に利用されている家事代行サービスも、日本でももっと広がるといいと思います。周りの力を借りて、サービスを利用して、世の中とつながることで、価値を提供して役立っているというポジティブな気持ちにもなれるはず。そしてお母さんが生き生きと楽しく働くことで、子どもも「仕事」に対してポジティブな印象を持つはずです。
子どもと長く一緒にいることだけが質の良い育児だと思わないで。子どもとの触れ合いは「時間じゃなくて濃度」です。お母さんが自分の人生を主体的に生きて、楽しそうに働いている姿を見せたり、キャリアについて一緒に語り合える素地を持ってほしいです。
——海外での専業主婦としての生活で、社会との繋がりの重要性を知ったからこその思いですね。
大東さん:
当時はいろんなことを我慢して子育てをしていて、夫がある時「そんな状態を見ているのが辛い、家に帰ってくるのが辛くなる」と言ったことがありました。その言葉で「今の私の状態は、夫を幸せにしていない」と気付かされたんです。
世の女性たちも、自分の人生を生きてほしい。母親として、妻としての人生ではなく、自分の人生を自分の手で描いて。その選択が、周りの人をハッピーにする力にも繋がっていくと思うんです。
——数年後、数十年後には今よりも女性が働きやすい社会になっているはず。しかし周りが変わるのを待つのではなく、まずは自分から始めて見ることが大切だと大東さんは教えてくれました。どうすれば幸福度の高い働き方ができるのか、自分の心に問いかけてみると何かヒントが見つかるかもしれません。
PROFILE 大東めぐみ
文/佐藤有香