数年後はSNS離れする人が増加する?安藤さんが感じる近年のSNS活用の本質的なズレ

 

——インターネットやSNSが普及して、誰しもネットを使ったビジネス展開が可能な時代になってきている今の時代だからこそ、パラレルキャリアとしての一歩も踏み出しやすいということですね。安藤さんは、SNSを活用したセルフブランディングの先駆け的存在ですが、SNSの可能性はいつ頃から注目されていたのですか?

 

安藤さん:

会社を辞めた2010年頃からビジネスでも活用できるツールだと注目し、FacebookTwitter、ブログを中心に仕事を作っていくことを始めていました。

 

当時からメールアドレスを載せていたので、「ブログを見ました」と連絡をもらったり、TwitterDM経由で仕事の依頼が入ったり、Twitterで仲良くなった、ある著者さんと「何か仕事を作れないかな」というライトな感じで会って話していく中で、セミナー運営の仕事に発展したりもしました。

 

——2017年、合計フォロワー10万人という最先端で、InstagramFacebookなどのSNSをクローズしたのはなぜだったのでしょうか?

 

安藤さん:

現在は、TwitterInstagramFacebookなどの拡散力の強いSNSをお休みしています。当初、SNSを活用することで「ポジティブな影響力を持ちたい」というところから始まったことなので、やりきった感もありましたし、時間を費やしてたくさんのフォロワーさんへのケアもしていたので、アウトプット過多になりつつあって。ゆっくりインプットする時間も欲しくなったというのも理由の一つです。

 

——今後、SNSアカウントをクローズして離れていく人も増えると思いますか?

 

安藤さん:

そもそも、本心では今、「SNSをやめたい」と思っている潜在的なニーズ、数はかなりにのぼるはず。とはいえ、発信自体がビジネスになっていたり、影響力を持つことでメリットがあったり、SNSが生活の一部になっている人が多いと思うので、今すぐには始まらないかもしれませんが、これからゆるやかに移行していって、5年〜10年後くらいには、SNS離れしていく人が明らかに増えると思います。

 

来年、再来年くらいには、今年のオンライン化の波の揺り戻しで、全てではないけれど、一部のSNSをクローズして、限定的な使い方をする人は増えていくはずです。実際に私の周囲では、TwitterFacebookをやめた人が少しずつ現れています。

 

また、私がSNSを活用し始めた当時と比べて、SNS活用の本質が変わってきているように感じています。インスタも広告収入を得るために、どんなものでもアップしたり、フェイスブックも付き合いで「いいね」を押したり、ツイッターも反応を気にして気軽につぶやくことができなくなってきたり率直に言えば、だんだん嘘っぽくなっているような気がします。

 

SNSで「良く見せすぎる」投稿を見ることに疲れている人たちも多いはず。収入を公開したり、良い生活を見せたり、自身の成功を前面に出した投稿をしたり。そういう内容を見ることで、マウンティングされているような感覚に陥る人もいれば、不快感を覚える人もいるでしょう。

 

でもそういう本質のズレは、必ず元に戻っていくもの。SNSの本当のピークはおそらく23年前に過ぎていて、今は「残像の状態」といえるかもしれません。このようなツールが溢れれば溢れるほど、マインドフルネスとか禅、心など内的世界を求めるようになると思いますし、実際、私も追求しているところです。そのあたりは、来年出版予定の本のテーマにもしています。

 

今年からはブログ、メルマガ、音声配信アプリHimalayaなど、より限定的なツールを使っての発信を再開しています。また、来年は数年ぶりに書籍を刊行します。20211月発売予定の本にはじまり、数冊の出版を控えている状況です。

 

——今後の働き方に悩んでいる読者に一言メッセージをお願いします!

 

安藤さん:

今の働き方や生き方に、何か不一致を感じているなら、スキルをつけるとか、副業から始めてみるとか、何かしらのアクションを起こしてみてください。動くなら今です。いろんな言い訳をつけて動かない選択をしてきた自分を卒業して、自分の幸せのあり方を探してほしいです。

 

ただし、社会はどんどん変わっていくので、SNS活用も、起業するのも、「やめやすいように、身軽でいること」が大切だと思います。

 

特に世のお母さんたちには「自分の幸せ」や「自分らしくあること」を考えてほしい。どうか「子育てが忙しくて」という言い訳にして立ち止まらないで!お母さんがハッピーでいることって、子どもにとっても良い影響を与えます。最近実感するのは、お母さんが幸せで好きなことをやっている社会が、一番幸せな社会なんじゃないか、ということ。母親が未来の社会の要になると思っています。

 

——常に先見の明を持って、新しいことにチャレンジしていく安藤さんは「自分らしく働く」を体現したような存在です。自分の才能を追求したい、新しい可能性にチャレンジしたいという思いは人として自然なこと。まずは身近で活動をしている人を参考に、一歩踏み出してみるのも良いかもしれません。

 

PROFILE 安藤美冬

作家/講演家/コメンテーター。1980年生まれ、東京育ち。大学卒業後、(株)集英社に勤務した後、2011年に独立。SNSでの発信を駆使し、肩書きや専門領域にとらわれずに多彩な仕事を手がける元祖ノマドワーカーとして、独自のワーク&ライフスタイルを実践。750日間のSNS&ネット断捨離期間を経て、2020年より一部再開。アメーバオフィシャルブログ『人生は冒険』で情報発信中。また、2021年1月下旬に著書『新しい世界(仮)』が光文社より発売予定。

 

取材・文/佐藤有香 撮影/緒方佳子