「ノマドワーク」に注目が集まる以前から、組織に属さず場所にとらわれない働き方を展開し、独自のライフ&ワークスタイルを築き上げた安藤美冬さん。今回はSNS活用の今後と、パラレルキャリアの可能性について伺いました。
収入を意識した「副業」とやりがいや喜びを意識した「パラレルキャリア」
——最近「パラレルキャリア」という働き方をよく耳にするようになりました。安藤さんも2011年の独立当初からパラレルキャリアとしての働き方を実践している第一人者ですが、パラレルキャリアの定義について改めて教えてください。
安藤さん:
パラレルキャリアは、二つ以上の組織に関わって、二つ以上の仕事をしていく働き方です。
このように説明すると「副業と同じ?」と思われるかもしれませんが、本質的な部分が違っていて、将来のための実績やコネクション、経験、喜びを主軸にしていることが前提。ボランティアでも構わないという考え方がパラレルキャリアだと考えています。
——「もう少し収入を増やしたい」という思いが起点で、普段は会社員だけど、週末など空いた時間を使って別の仕事を行うのは「副業」ということですね。
安藤さん:
そうですね。パラレルキャリアは、本業の今後の広がりにつながるようなもの、もしくは本業とは別に、自分の「好き」や「得意」を活かして仕事を行うことです。
たとえば、プログラマーの会社員の方が、セカンドジョブとしてプログラミング技術を子どもたちに教えるワークショップを開催していたとします。副収入や実績につながるという面もあると思いますが、会社の外に出てワークショップを開催することで得た人脈の広がりや、子どもたちに教えられるという喜びにつながっているのならパラレルキャリアと言えるでしょう。
今は会社員だけど、歌を仕事にしたかったとか、本当はスポーツを仕事にしたかったなど、それぞれが抱く好奇心や、やりたいことはさまざまです。得意な英語を活かして休日に外国人ガイドのボランティアをするのもパラレルキャリアの一つ。
ある統計で、女性の7割が「パラレルキャリアに興味がある」と答えたそうです。この10年で、SNSを使って個人のメディアを持つことができるようになりました。Twitterの発信、YouTube、ブログなどで、自分の得意、好きなジャンルを発信することで、人と繋がれる環境が出来上がっています。パラレルキャリアは今後どんどん増えていくはずです。
——副業、兼業をOKにしている会社も増えてきているので、より一層、自分の可能性を広げたり、やりたいことを追求するためのチャレンジの場が開かれそうですね。
安藤さん:
社員が空いた時間を使ってコネクションを広げたり、好きなことに打ち込むことで、生き生きと輝けることは会社にとっても財産と言えます。
また、コロナの影響や昨今の企業の弱体化で、社員を大事に抱えていくための体力がなくなってきている企業も増加し、正社員として雇い続けるよりも、副業やパラレルキャリアを容認することで、社員自身の足でキャリアを作っていくことを応援せざるを得ない状況になっていくでしょう。