わが子の言い間違い、みなさんはどう対応していますか。
「ただひたすらにかわいい!」という人もいれば、「みっともないから親が直してあげないと…」と考える人もいるかもしれません。
子どもの「言い間違い」は親が直してあげた方がいいのでしょうか。さまざまなプログラムで子どもたちのことば力を育ててきた高取しづかさんに聞きました。
【語彙力のトレーニング】大事なのは親子の会話が楽しいと思えること
子どもが少し話せるようになってくると、言い回しや発音を間違えてしまうことがあります。そんなとき「それは違っているよ」と間違ったことを指摘して直さなくていいのです。
子どもは覚えたてのことばをワクワクしながら使ってみたのに「それじゃ、ダメ!」と否定されたら、ことばを言うことに躊躇してしまうでしょう。子どもにも、ちゃんとプライドがあります。まわらない舌でいっしょうけんめいに言えた、その気持ちを大切にしてあげてくださいね。
もし気になるときには、直そうとするのではなくさりげなく言い変えてあげましょう。たとえば牛乳を「にゅうにゅう」と言った子どもには、「牛乳でしょ」と言うのではなく「そうなの。○○ちゃんは牛乳が飲みたいの?」などと、と手助けしながらも自然に伝えるのがポイントです。くれぐれも、子どもが間違いを指摘されたように感じないように、優しく笑顔で言ってあげてください。そうしているうちに、だんだん覚えていくものです。
娘が小さいころ、鳥のことを「とっとりたん」と言ったり、ビックリしたことを「びっくた」などの可愛い語録がしばらく残っていましたが、無理に直さなくても周囲の大人の正しいことばを聞いたり、本人が赤ちゃんぽいと自分で判断したことで次第に直っていきました。
子どもは、親子の会話からことばを学びます。
正しいことばを覚えさせようとするあまり、テストのように質問を浴びせて無理に教え込んだり、だれかに見せるために「ホラ、言ってみて」と指示して言わせると、話すこと自体が楽しくなくなってしまいます。
話すこと、聞くことが楽しいと思うこと、これが子どもがことばを覚えていく上でとても大事なことです。
親が一方的に話すのではなく、子どもの話を面白がって聞き、親子でたくさんコミュニケーションしましょう。会話のなかで、自然にことばを覚えるように促していきましょうね。
PROFILE 高取しづかさん
ことばキャンプとは…
人とつき合っていくときにかかせない、コミュニケーションする力のトレーニングプログラム。 米国の学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーション教育と異文化コミュニケーションを分析し、7つのチカラ(度胸力・論理力・理解力・応答力・語彙力・説得力・プレゼン力)を伸ばすために考案された。7つのチカラ引き上げを狙いとしたトレーニングによって、話すチカラ、聞くチカラを楽しく身につけられる。
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/
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文/高取しづか イラスト/fancomi