夫の言葉に心を痛めるのに、「私がいけなかったから」「私が気が利かなかったから」と思って自分で納得し、自己完結してしまう女性が多いようです。実はそれは立派なモラルハラスメント。今回は、夫からの言葉に日々傷つけられ、あることをきっかけに「モラハラなんだ」と認識してから、その後、夫を恨み続けている女性の話です。
頭がよくて弁の立つ夫を尊敬していた
その女性は結婚して12年、10歳と5歳のお子さんがいるユリカさん( 42歳)。夫は4歳年上で、ユリカさんが新卒で入った職場の先輩でした。
「頭がよくて仕事ができて、後輩には親切でした。先輩としていちばん尊敬していたんです。3年ほど一緒に仕事をした後、彼は地方に異動になり、4年ほどでまた戻ってきた。再会したときに彼のほうが懐かしがってくれて、そこから1年たらずのつきあいで結婚に至りました」
ユリカさんは新卒当時の「尊敬の念」が変わらないまま結婚しました。同じ会社にいるのは気恥ずかしい、と夫が言い出したので、ユリカさんは退社して派遣会社に登録。それまでのマーケティングの仕事を続けました。
「派遣とはいえフルタイムで働きながら、家事もすべて私が担っていました。毎日、夫の好物を4、5品も並べて、お弁当ももたせて。夫は“家事に支障があるようだったら、仕事はいつでもやめていいんだよ”と言っていました。当時は、夫の優しさだと自分に言い聞かせていたけれど、本音を言えば、釈然としませんでした」
いい妻になろうと必死で、夫の無茶ぶりにも…
いい妻ではなくてはいけない、知的で素敵な夫にふさわしい妻にならなければ、とユリカさんは必死でした。その頃、夫がユリカさんも知っている同僚を3人ほど連れて帰ってきたことがあります。
「金曜日の夜遅くでした。いきなり連れてきて、お酒や食事の支度をさせられて。翌朝から私に仕事があることを夫は知っていたはずなのに。結局、彼らは泊まっていき、朝食まで作って徹夜のまま仕事に出かけました」
ふらふらになって夜、帰宅すると夫はなにやら不機嫌な様子。
「朝っぱらから出かけるなんてイヤミだよ!って。ひと言くらいお礼を言ってくれてもいいのに。あげく、前日のもてなしがイマイチだったと言われてへこみました」
それでも、一家を担う主婦とはそういうものかもしれないと彼女は考えました。