「うちの子、祖父母への愛想が悪い!」と焦ったことはありませんか。実の両親ならまだしも、義両親だと気まずいですよね。

 

遠方に住む祖父母は普段会えないからこそ、打ち解けて欲しい。同じ年頃のいとこは祖父の膝に座っているというのに…。

 

子どもにコミュニケーションを覚えさせるにはどうすればいいのでしょうか。さまざまなプログラムで子どもたちのことば力を育ててきた高取しづかさんに聞きました。

 

度胸力・応答力のトレーニング】個性を尊重しつつ経験も増やす

よその大人がいるところではもじもじしてしまうわが子を見ていると「なんでこの子は…」と歯がゆく思ってしまうかもしれません。物怖じせずに話している子どもと、ついつい比べてしまうこともあるでしょう。

 

外交的な子、内気な子、面倒見のいい子…人はもって生まれた個性がありますから、ほかの子どもと比べてもしかたありません。まず、子どものことをそのまま認めてあげてくださいね。内気な性格は、相手のことをよく見ている慎重さというよさがあります。

 

親やお友だちとはふつうに話せてもよその大人とは話せない子どもには、「度胸力トレーニング」がおすすめです。

 

子どもは大人のように行動範囲が広くないので、家族や同じ年齢の子ども、先生などとしかお話ししていない場合が多いもの。外に連れ出して、たくさんの人と話す機会を作ってあげましょう。外に出ると、若いお兄さんからお年寄りまで、幅広い年齢の人がいます。いろんな大人と接し、人に慣れることでドキドキも少なくなってきます。

 

家の中では普通に話すのに、外で何か聞かれると固まってしまうお子さんもいます。

 

もしかしたら、親が子どもの答えを代わりに答えていませんか?よその人に話しかけられて恥ずかしそうに親の顔をみても、助け舟はださない!と決めること。親がいつも子どもの代わりに答えていると、いつまでたっても子どもは話せるようになりません。

 

「自分のことは自分で言おうね!」と背中を押してあげて、自分で答える機会を作ってあげましょう。「度胸力をつけるチャンス!」と思って、自分で答えるように促します。人と話すことに苦手意識を持たせないために、場数を踏みよその大人と会話する経験をさせてあげてください。

 

七五三のお祝いの席やお誕生日会など、「祖父母に『来てくれてありがとうございます』って、自分で言おうね」と促してみるのも度胸力トレーニングになります。特別な日だからこそ、子どもも頑張って言えるかもしれませんよ。

 

少しでも子どもが話すことができたら、さりげなく「言えたね」「よかったよ」などとほめてあげましょう。そんな積み重ねで、子どもは人と話すことに慣れてきます。

 

PROFILE 高取しづかさん

髙取しづかさんプロフィール写真
NPO法人JAMネットワーク代表、ことばキャンプ教室主宰。「子どもの自立トレーニング」をテーマにメディア出演や講演を行っている。『ことば力のある子は必ず伸びる!』(青春出版社)など著書多数。

 

ことばキャンプとは…

人とつき合っていくときにかかせない、コミュニケーションする力のトレーニングプログラム。 米国の学校や家庭で行われていたオーラルコミュニケーション教育と異文化コミュニケーションを分析し、7つのチカラ(度胸力・論理力・理解力・応答力・語彙力・説得力・プレゼン力)を伸ばすために考案された。7つのチカラ引き上げを狙いとしたトレーニングによって、話すチカラ、聞くチカラを楽しく身につけられる。
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/

 

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文/高取しづか イラスト/fancomi