©︎2020 映画「水上のフライト」製作委員会

 

—— 熱いコーチってちょっと苦手なのですが、宮本コーチには親しみやすさを感じ、ついていきたいかもと思いました。こんなコーチならついていきたい! という小澤さんの理想のコーチ像を教えてください。

 

小澤さん 

僕自身、「褒められて伸びるタイプ」だと思っています。中学、高校、大学とバスケットボールをやっていたのですが、当時は今の考え方とは違う時代。たとえば、練習中に水を飲む時間は決まっていたり、サボったりしたらうさぎ跳びとかそんなルールもありましたね。厳しいコーチのもとで身についたことが、今、役者をやるうえで役立っているというのも確かです。先輩後輩の関係性がはっきりしていた縦割りの世界だったので、そういうところでの経験は今の糧になっています。でも、本当は褒められて伸びるタイプなので、厳しくされると「褒めてほしい」と思っていました。

 

—— 褒めてほしいという感情は、どのように消化したのでしょうか?

 

小澤さん 

「まあ、よかったですよね」みたいに、確認のようなことをしながら「よかったんじゃない?」という答えを引き出します。誘導する感じかな。そういうアグレッシブさは持っています。今もこの手法は使っていて…。ちょうど昨日の話ですが、きつい現場だったのでマネージャーに褒めてもらおうと、誘導したけれど、全然褒めてくれないんです。僕の性格も意図もわかっているから。なので、今、スネています、僕。というより喧嘩の最中という感じです(笑)。

 

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—— 今回はコーチ役なので、褒めるほうの立場ですね。子どもたちとのシーンも多かったですが、撮影現場ではどんな風にコミュニケーションをとりましたか?

 

小澤さん 

僕は、現場の空気がよくなるように、ピエロになろうとするタイプなんです。馬鹿なことを率先してやることで、みんなが楽しくなって、一体感が出ればいいなと。

 

今回の現場でも、いつものようにそんな感じで振る舞っていたのですが、子どもたちのリアクションはとても素直で、本当の笑いの感じになってすごくよかったなと。そこにサバサバした中条(あやみ)さんが関西のノリで加わり、杉野(遥亮)くんは独特のテンポ感で別の笑いを提供する。さらに監督も陽のオーラを持った人だし、子どもたちがいることで、相乗効果のように自然と明るい現場になりました。

 

—— いい雰囲気の中での撮影だったのですね。

 

小澤さん 

撮影前に、3週間くらいカヌーの練習を一緒にやったのも良かったのかもしれません。子どもたちが自然と僕のことをコーチとして見始めていたし、その関係性、空気感が出来上がったところで、中条さんが加わって。練習を通じて、信頼関係が発生して、子どもたち同士の距離が近くなっていくのも感じました。中条さんに懐いて、姉妹っぽくなっている女の子もいましたから。

 

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—— コーチのように見られていたとなると、カヌーも上手く乗りこなさなければというプレッシャーがありますね。

 

小澤さん 

本格的に乗ったのは初めてでした。コツは割とすぐにつかめました。手で漕ぐというイメージがあったのですが、実は下半身が重要。足を突っ張り、それに合わせて腕を動かしているんです。最初は腕に頼って筋肉痛になったりもしましたね。みんなより上手くなきゃいけないという気持ちはありましたが、やっぱり子どものほうが覚えは早いです。気づいたら小回りターンとかしていたので、逆に教えてもらったりもしました。

 

プールでの練習の際に、劇中で中条さんが乗る競技用のカヌーに挑戦したのですが、バランスをとるのがすごく難しくて。支えてもらっていた手を離された瞬間に、沈没しちゃいました。あれを乗りこなした中条さんは、根性あるなと思いましたね。

 

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