vol.39 公教育におけるオンライン授業
育児、仕事、家事、社会のこと、ママたちが普段気になっていることをCHANTOモニターに大調査!ママたちの「どうして?」を「なるほど!」に変える記事をお届けします。vol.39は「公教育におけるオンライン授業」についてです。
コロナ禍で学校が休校になる中、オンライン授業が対面授業に代わる学びの手段として注目されました。内閣府の調査では、コロナウイルスの影響下でオンライン教育を受けていたのは全国の小中学生のうち45.1%という結果となっています。
しかし、地域ごとに見ると「東京23区」では69.2%、「大阪・名古屋圏」では52.2%と都市部は半数を超えているにも関わらず、他の地方では33.9%と地域格差も生じています。新しい教育の形として期待が高まる一方で、地域や学校などの環境によって格差が生じているという課題がうかがえます。
オンライン授業は今後も必要か?今、親の私たちが感じている課題は何なのか?CHANTOモニターのみなさんにオンライン授業についての考え
を聞きました。
GIGAスクール構想が前倒しになるも、家庭ごとのネット環境の差に不安…
「今後もオンライン授業は教育のひとつの選択肢になり得ると思いますか?」と聞いたところ、「コロナ禍以降も公教育でのオンライン授業は必要」50%、「公教育のオンライン授業はあったほうがいい」37%、「オンライン授業はなくていい」13%という結果となりました。
肯定的な意見が合計87%
となっている理由は、「学級閉鎖時や災害のときなど通学が難しい場合に対応できるから」、「病気の子、不登校の子や学習障害の子などが学ぶ機会が得られる」と教室で授業を受けることが難しい場合の解決策になりうる
と考える人が多いため。
さまざまな事情で登校できない子どもたちの学習機会を制限しないためにも、感染症がおさまった場合も対面授業とオンライン授業を選べることが当たり前になればいいですよね。
しかし、
冒頭に挙げたように学校や地域差による課題も浮き彫りになっています。今、親の私たちが考える課題はどんなことなのか?「オンライン授業が教育の選択肢となるために解消するべき課題」を聞きました。
その結果、一番心配されていたのはパソコンやタブレットなどの端末がない、Wi-Fiの環境がないなど「各家庭のIT環境」でした。
文部科学省は、かねてから情報通信技術について学ぶICT教育のためのGIGA(Global and innovation Gateway for All)スクール構想を進めていました。コロナ禍を受けてその計画を前倒しし、今年度中に小中学生にパソコンやタブレットを1人1台配備するとしています。
しかし、安定したオンライン授業を受けるためには端末だけではなく家庭内の十分な通信環境も必要です。
GIGAスクール構想には、Wi-Fi環境が整っていない家庭のための通信機器整備支援も盛り込まれていますが、本来学習のチャンスを公平にするオンライン授業が不公平なものになってしまわないよう、設備を必要とする人が誰でも利用できるような制度を整えることが重要です。
ちなみに、その他の懸念点には「データ通信料」「教師のITリテラシー」などが挙がっていました。
今回の調査では、新型コロナウイルスやインフルエンザなど感染症が拡大し登校できない際や、教室で勉強しづらい子どもにも柔軟に対応できるオンライン授業に、多くの人が期待していることがわかりました。しかし一方で、端末の配備や通信環境の整備には課題を感じており、その対応は急務と言えそうです。
親の私たちも家庭にどういった設備が必要なのか、また新しい手段に子どもたちが戸惑わないようにどう働きかけたらいいかなど準備しておくといいかもしれません。
取材・文/阿部祐子 イラスト/児島衣里