子どもの緊張をほぐして心を守る1分呼吸法

心をふわっと穏やかにする「ペンキ塗り」

イラスト:大金丈二 『感情の知性(EQ)を伸ばす 学校と家庭でマインドフルネス! 1分からこころの幸せ・安心を育む63のワーク』(学事出版)より

 

手を使って呼吸に親しむ簡単なワークです。まずは親がゆっくりペンキ塗りをするイメージで、手を上下に動かします。子どもはその動きを見て、手が上に行くときは息を吸い、下に行くときは吐くのを1分ほど繰り返しましょう。

 

(1)親子(2人組)で向かい合う。立っていても座っていてもOK。 (2)親はブラシでペンキ塗りをするイメージで、ゆっくりと片手を少ししならせながら上げ下げする。子どもは親が手を上げたら息を吸い、手を下げたら吐く、を1分ほど繰り返す。

 

POINT

主人公は、子ども(呼吸担当)のほう。親の手の動きに子どもの呼吸を合わせさせるのではなく、子どもの呼吸の速さをよく見ながら、親側が手を動かすスピードを調整しましょう。「これくらいでどう?」と速さの確認をしましょう。早すぎるとリラックスできず、ゆっくりすぎると呼吸が苦しくなってしまいます。

一人でも簡単に心をほぐせる「手のひら呼吸」

イラスト:大金丈二 『感情の知性(EQ)を伸ばす 学校と家庭でマインドフルネス! 1分からこころの幸せ・安心を育む63のワーク』(学事出版)より

 

子ども一人でも簡単にできる、手のひらを使った呼吸法です。親指の付け根をスタート地点、小指の付け根をゴールとして、手のひらの輪郭をゆっくりとなぞりながら呼吸を行います。手を使うことで、簡単に呼吸に集中してリラックスできるようになります。

 

(1)片方の手をパーの形に開く。 (2)もう片方の手の人差し指で、親指の付け根からスタートして、手のひらの外側(輪郭)をゆっくりなぞっていく。このとき、指が下から上に向かうときは息を吸い、下がっていくときは息を吐く。 (3)小指の付け根までたどり着いたらゴール。

 

POINT

人差し指を動かす速さは、自分のペースでOK。急いでゴール(小指の付け根)を目指す必要はありません。速すぎるとリラックスできないので、じっくりと心を落ち着けられる自分なりのペースを見つけて。利き手を使ってなぞったら、今度は手を逆にしても(利き手をパーにする)。普段と違うことは、注意力の向上につながります。

 

どちらの呼吸法も、終えたときにはゆったりと落ち着いた気持ちになれているはず。

 

「心がガチガチに緊張している(もしくはざわざわ落ち着かない)を3、ちょっと緊張している(ちょっとざわざわ)を2、ふんわりリラックス気分が1だとすると、今の気持ちは123のどのあたり?」というように、前後でどんな風に気持ちが変化したかを数字や言葉で表すのもおすすめです。

 

人はリラックスすると、視界が開けるようになります。視界がクリアになると、自分の感情とも冷静に向き合えるようになります。不安、イライラ、怒りなど、子どもが強い感情に呑まれそうになっているときに試してみてください。子どもたちのみならず、ママやパパもおすすめなワークです。 … 1回で劇的な変化は起きなくても、反復練習によって心のあり方は必ず変化していきます。2つの呼吸法を通じて「心が切り替わる感覚」が得られるようになれば、ストレスの緩和、情緒の安定、そして自分自身の理解にもつながります。ぜひ親子で試してみてください。

 

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PROFILE 戸塚真理奈さん

一般社団法人heARTfulness for living協会代表理事/1977年、東京都生まれ。外資系投資銀行やIT企業を経て、一般社団法人heARTfulness for living協会を設立。NY在住時には子ども向けマインドフルネス指導者トレーニング修了。現在はマインドフルネスとEQ教育プログラムの開発・実践教育を行う。著書に『感情の知性(EQ)を伸ばす 学校と家庭でマインドフルネス!1分からこころの幸せ・安心を育む63のワーク』(学事出版)。

 

文/阿部 花恵

※1 unicef「ユニセフ報告書「レポートカード16」発表 先進国の子どもの幸福度をランキング」https://www.unicef.or.jp/news/2020/0196.html