スマートフォンやタブレットが普及し、インターネットやゲームの低年齢化が進む昨今。

 

もはや子どもの生活とゲームは切り離せない状況ともいえます。「ゲームのやりすぎはよくない」と言われて育った私たち親世代は、子どものゲーム利用にどう向き合えばいいのでしょうか。

 

特集「ゲームは悪なのか!?子どもは『好き』で成長する」。第1回目は、ご自身もゲーム好きだという児童精神科医の関正樹先生に、「ゲームは子どもに悪影響なのか」についてお話を伺います。

 

PROFILE:関 正樹(せき まさき)

1977年生まれ。児童精神科医。医療法人仁誠会大湫病院児童精神医療センターに勤務。主な共著に『発達障害をめぐる世界の話をしよう~よくある99の質問と9つのコラム』(批評社刊)、分担執筆に『おそいはやいひくいたかい107号 特集 ゲームのやりすぎを心配するとき』(ジャパンマシニスト社刊)などがある。

ゲームは子どもの成長にとって悪なのか?

※画像はイメージです

 

岐阜県大湫病院の児童精神科医である関先生ですが、ゲームに関しての相談は非常に多いといいます。特に「視力の低下」「攻撃的な性格になる」「コミュニケーション能力の低下」についてよく聞かれるそうですが、関先生は「結論を言えば、どれもゲームが原因で引き起こされるという医学的な実証データはない」と言います。

 

まず「視力の低下」という問題。これについては、ゲームに限らず読書や勉強など、近くを見続ける作業と近視が関連があるというデータはあるものの、「ゲーム」に限った研究結果は出ていないそう。つまりわかっているのは、「長時間近くを見続ける作業そのものと視力低下の関連がある」ということだけになります。

 

「攻撃的な性格になる」については、ある調査で暴力的なゲームを一定期間プレイさせた結果、性格の変化はないと明らかになっています(※1)。バトルゲームをしていて「クソ」「死ね!」など口が悪くなることは確かにあるものの、性格を変えてしまうということはないようです。

 

関先生は対人面については、ポジティブな面の方が強い印象だと話します。「幼児においてはゲームをする子の方が社交的だという調査結果はすでにいくつか出ています。ゲームする子は陰キャじゃなくむしろ陽キャなんですよ(笑)」

 

長時間ゲームをしている=ゲーム障害ではない

ゲームが子どもの成長に悪影響を及ぼす医学的根拠はない。とはいえ、昨年はWHO(世界保健機関)で新たな病気として「ゲーム障害」が認定され、香川県でゲーム規制条例が施行されました。

 

「そもそもゲーム障害というのは、ゲームの時間を自分でコントロールできず、家族、仕事、学業に大きな問題が生じていて、それが12カ月くらい長期的に継続している、この条件が全てそろっている状態のことです。そう考えるとどうでしょうか。1日3~4時間ゲームをしているくらいならゲーム障害とは言えません」

 

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