前回「

コロナで長引く夏疲れを解消!医師が実践する野菜の食べ方

」で、残暑厳しい今の時期に効果的な「漢方の食養生」を教えてくれた漢方医の工藤あきさん。実は、腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケア治療にも⼒を注いでいます。美肌にも「漢方の食養生」が効果てきめんということで、詳しく教えていただきました。

 

Profile 工藤あきさん 

福岡県みやま市の工藤内科副院長。漢方医。消化器内科医として腸内細菌・腸内フローラに精通しており、美腸・美肌評論家としても活躍。その美肌から「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれている。ダイエット外来医師である夫・工藤孝文さんとのテレビ出演をはじめ、各種メディアに引っ張りだこ。プライベートでは2児の母でもある。

 

つるりとした美肌の秘訣は発酵食品!

 ——さまざまなメディアで「むき卵肌ドクター」と評されるだけあって、みずみずしい肌でうらやましいです。美肌を保つために実践されている食養生について教えてください。

 

工藤さん:

善玉菌を多く含む発酵食品を積極的に摂取するようにしています。具体的には、納豆や味噌、漬物、ヨーグルト、チーズ、キムチ、麹などです。チーズは毎朝、ヨーグルトは朝と夜に、味噌汁は1日のうち必ず1食は取り入れています。納豆はルールは決めずによく食べていますね。特に変わった食材を食べているわけではありません。どこのスーパーにも普通に売っているもので大丈夫。これらのおかげで肌の調子をキープできていると感じています。

 

運動は実はほとんどしていないんです。通勤も家から職場までは車なので、歩く量もそれほど多くないかもしれません。ですから、掃除や洗濯などなるべく家事をして体を動かすようにしています。無理をして運動しても続けにくいですし、できることだけやっていますね。私の肌を褒めてもらえるのは、本当に食生活のおかげだなと実感しています。

 

——食事も運動も…となるとハードルが高いですが、食事だけならすぐに真似できそうです。美肌のための食養生を取り入れる際、気をつけることがあれば教えてください。

 

工藤さん:

ヨーグルトを朝食べるなら、食後に摂るのがおすすめです。理由は、食前に食べると胃酸によって乳酸菌が死滅してしまうから。死んでしまった菌でも腸に有益なのでまったく意味がないことはありませんが、ほかの食べもので胃酸が弱まってから摂ったほうが、より効果があると考えられています。

 

腸がもっとも活発に働く「ゴールデンタイム」は就寝中と言われています。この時間を利用して腸を整えるなら、夕食や夕食後に食べるのがいいでしょう。ただし、寝る直前や22時以降に食べると太りやすくなるので、その前に食べ終えるようにしてくださいね。

 

発酵食品が美肌の手助けになる理由とは?

——美肌の食養生に発酵食品をすすめるのはなぜでしょうか?

 

工藤さん:

まだまだ研究の余地があるのですが、腸内環境がよくないと、それが血流によって肌の状況を悪化させるという研究報告があるんです。「肌の状態は腸内環境を表す」と言っていいほど、腸内環境と肌は密接に関係していると考えられます。その腸内環境を整えるのに欠かせないのが発酵食品なんです。

 

腸内環境がいいというのは、腸内にいる細菌類のバランスがいいことを意味します。腸の中には数えきれないほどの細菌類が存在していますが、大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見(ひよりみ)菌」に分けられます。

 

免疫細胞を強化してくれるのが善玉菌、反対に免疫細胞を弱体化させるのが悪玉菌。そのどちらでもなく、健康な時は無害だけど、悪玉菌か善玉菌のどちらか優勢なほうに加担して働くのが日和見菌です。

 

善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7というバランスが、理想的な腸内環境の目安と考えられています。ただ、このバランスは崩れやすいんです。体調や食生活、年齢、ストレスなど、さまざまな要因によって日々変化しますので。善玉菌を多く含む発酵食品を積極的に摂り、日和見菌を味方につけられると、理想のバランスをキープしやすくなるんですよ。

 

——腸内環境が整っているかどうかを、自分で判断することはできるのでしょうか?

 

工藤さん:

わかりやすいのは便通ですね。腹痛や出しにくさなどの不快感がなければ、バランスが整っていると考えていいでしょう。たとえば、3日に1回程度しか便が出ない人でも、不快感がなければ問題ありません。排泄されるまでの時間は、腸の長さや体質によって一人ひとり違います。「3日出ないからバランスが悪い」ではなく、不快感があるかどうかで判断してくださいね。

 

なお、以前と比べて排便回数が極端に減ってしまった、便に血が混ざっているというような場合は大腸がんなどの病気の可能性も。気になる症状がある時は、医療機関を受診することをおすすめします。

 

手軽に作れる美肌料理は「“超特急”野菜鍋」

——どのくらい続けると効果が出てきますか?

 

工藤さん:

毎日1回食べる場合、23週間続けると効果が出てくると思います。患者さんの話を聞いていると、「私は納豆が効いた」「私はヨーグルトが合うみたい」と、人によって効果的な食材が違うようです。いろいろな食材を続けて試してみて、自分に合うものを見つけるといいと思います。

 

——逆に美肌にもよくない⾷材もあるのでしょうか?

 

工藤さん:

よく言われることですが、高脂肪&高糖質食のスナック菓子や洋菓子、揚げものなどはやはり、たくさん摂らない方が無難ですね。ポテトチップスを毎日1袋食べたり、昼も夜も揚げものを食べたりするのは過剰摂取。皮脂の分泌過多になり、ニキビや肌荒れの原因になります。控えるに越したことはありません。

  

——最後に、簡単に作れて美肌効果が期待できるレシピがありましたら、ぜひ教えてください。

 

工藤さん:

イチオシはピーラーを使ってサッと作れる「お急ぎ!野菜鍋」です。大根、にんじん、じゃがいもをピーラーで薄く長くむいて鍋に入れ、塩と水を加えてひと煮立ちさせて、仕上げに桜えびを散らせば完成!簡単でしょう?にんじんに多く含まれるβカロチンが体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を強化する効果があります。大根とじゃがいもは胃の調子を整えてくれますよ。

ピーラーを使えば野菜をカットする時間も、加熱時間も短縮できます。包丁とまな板を使わないので洗いものもラクちんです。手軽に作れるので、ぜひ試してくださいね。

 

——いくら美肌にいいとされる食材をたくさん食べても、腸内環境が悪ければ無意味、ということをもっと意識する必要がありますね。正しい知識をつけて、少しずつでも効果的な食材を取り入れることが、美肌への第一歩になりそうです。

 

取材・文/小松﨑裕夏 イラスト/みやぎちか