井浦さんの“子育てのこだわり”がスゴイ!?

——井浦さん自身が、子育てで大切にしていることはありますか?

 

井浦さん:

きっと普通のお父さんと同じように、当たり前のことしか言えないと思うんですけど。子どもって勝手に育っていくものですし、時がきたら知らない間に離れていってしまうものですよね。もしかしたら、お父さんがいようがいまいが、ちゃんと育っていけるはずなんです。

 

だからといって子どもたちと距離を取ってるかというと、僕自身はそうじゃなくて。むしろ、“手をかけられるうちは思いっきり手をかけていこう”と思ってます。それがイコール甘やかすってことではなくて…。家族と一緒にいる当たり前の日常の中で、ただゴロンとしてるだけじゃなくて、いかに子どもや妻を引っ張って、“見たことのない世界を見せてあげられるか”だと思うんです。

 

外に出ている時間が長いけれど、そのぶん一緒にいるときはメリハリがあるように、“お父さんといると何かおもしろい”と家族に感じてもらえたらいいなって。

 

 

——たとえば、お子さんにどんな世界を見せてあげていますか?

 

井浦さん:

僕はずっと、レコードを集めて聴いているんですけど、そういう趣味とかも自分だけのものにしないで、子どもたちにも与えていく。それでいらなかったら、子どもたちが勝手に引いていけばいいんです。

 

レコードに関しても、今はスマホで音楽を聴くのもいいけれど、レコードプレイヤーの電源をつけて、レコード盤を選んで、それに針を落として丁寧に音楽を聴くっていうことも知ってほしい。それが未来にも生きたらいいなと思います。

 

 

——お子さんたちはレコードを聴くのを楽しんでいますか?

 

井浦さん:

そうですね。子どもたちもいつのまにか、僕の趣味を勝手に真似て聴いてます(笑)。合理的にどんどん便利になっていく時代で、子どもたちも小さいうちからスマホを使いこなしてるじゃないですか。それはこれからも必要なことだけど、実は生活の中で“無駄なモノ”こそが豊かさだったりすると思うんです。

 

不便で無駄で合理的じゃないことのおもしろさを子どもたちにも知ってほしい。そのことを子どもに伝えられるのがお父さんなんじゃないかなって。僕がいちばん大事にしたいことです。

 

 

——いつも自然体で子どもたちに接する永作さんと、一見無駄に見えるものにある豊かさを子どもに教えたいと語る井浦さん。おふたりから、普段の子どものとの関わり方のヒントをもらえたような気がします。

 

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永作博美/ながさく・ひろみ 

1970年10月14日、茨城県生まれ。’88年に歌手デビュー。また、’94年に女優デビュー。以降、ドラマ、映画、舞台に欠かせない存在感を放つ。’11年に映画『八日目の蟬』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。’09年に結婚し、二児の母でもある。栗原佐都子を演じた、主演映画『朝が来る』は、10月23日に公開予定。

 

井浦 新/いうら・あらた 

1974年9月15日、東京都生まれ。映画「ワンダフルライフ」に初主演。以降、映画を中⼼にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。 アパレルブランド「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」のディレクターを務めるほか、⽇本の伝統⽂化の繋げ拡げていく活 動を⾏なっている。 11月9日によりオンエアのWOWOWオリジナルドラマ「殺意の道程」に主演。

 

[作品情報]

映画『朝が来る』

【公開日】10月23日(金)

【原作】辻村深月 『朝が来る』(文春文庫) 

【監督・脚本・撮影】河瀨直美

【共同脚本】髙橋泉

【出演】永作博美 井浦新 蒔田彩珠 浅田美代子

佐藤令旺 田中偉登/中島ひろ子 平原テツ 駒井蓮

山下リオ 森田想/堀内正美 山本浩司 三浦誠己 池津祥子 若葉竜也 青木崇高/利重剛

【主題歌】C&K「アサトヒカリ」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)

【製作】キノフィルムズ・組画

【配給】キノフィルムズ/木下グループ

【公式サイト】asagakuru-movie.jp

©2020「朝が来る」Film Partners

 

取材・文/相川由美 撮影/河内 彩