気難しい。こだわりが強い。視線を合わせない…。そんなさまざまな形で現れる「子どもの発達障害」について、お伝えしていくオピニオン特集。発達障害については広く知られるようになってきましたが、「子どもの発達障害」を身近に感じられるかどうかは、人によってまったく異なるかもしれません。「わが子が発達障害なので身近だ」と受け止めている人もいれば、「当事者でないのでよくわからない」と感じている人も。
CHANTO読者アンケートで「あなたのまわりに、発達障害の子どもはいますか?」という質問を投げかけたところ、「いる」と回答した人は全体の75%にのぼりました。つまり、子育て中の親の4人に3人は、身近に発達障害の子どもがいるということ。
その一方で、「発達障害についてどの程度、理解していますか」という問いに対しては、「よく理解している」と答えた人はわずか13%。
知ってはいるけど、実はよくわからない。
このギャップはどこから生じるのでしょう?
「子どもの発達障害」に関するCHANTO読者アンケートの結果から、発達障害をめぐる認識のズレとその原因を探ります。
発達障害の子を育てる親たちの本音
CHANTO が行った「子どもの発達障害」に関する読者アンケートで、「発達障害がよくわからない」と答えた人の理由で最も多かったのは、「ADHD、ASD、LDなどの名前が紛らわしい」「スペクトラムなどの言葉が難しい」という声。
確かに、アルファベットの羅列だけでは意味が頭に入りづらいですよね。また、10年前には「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」だった状態が今は「ASD」になるなど、診断名が時代の変化に応じて微妙に変わっているため、診断名にばらつきがあり、世間に定着していないという見方もあります。
現在、発達障害には大きく分けて6つのカテゴリー(診断名)がありますが、同じ診断名であっても個人差が大きいのも特徴。境界線はあってないようなもので、2つ以上のカテゴリーを併せ持つケースも珍しくありません。
では、実際に発達障害の子どもを育てる親は、どんな悩みを抱えているのでしょうか。寄せられたアンケート回答から、発達障害の子育てのリアルが伝わってきました。
わが子が発達障害ですが、周りにどう伝えるといいのかいつも悩みます。見た目では分かりづらいため、「そんな風に見えないよ、大丈夫そう」と言われると、こちらとしては勇気を振り絞って伝えたつもりなので、つらいです(36歳フリーランス/長男11歳、次男6歳)
自分の子が発達障害であることを告白できずにいます。学力に問題がないグレーゾーンなため、小学校は普通クラスですが、トラブルで周りの子に迷惑をかけることも。申し訳なさと恥ずかしさから近所の子と遊ばせるのもためらってしまっています(38歳専業主婦/長男6歳)
息子が2歳のとき、保育園の先生から「お子さんが指示に従えないのは母親の愛情不足」と言われました。ですがその後、息子は自閉症で愛着を形成しづらい特性があることが判明。小学校の就学前面談でも、診断名を見て「運動会の練習で脱走したら連絡します」と言ってきた先生がいました。息子はそういうタイプではないのに、発達障害というだけで偏見があるのだなと思います(33歳会社員/長男6歳)
わが子の発達障害について、どんな言い方なら正しく周囲に伝わるのか。偏見や無理解に悩みながらも、試行錯誤して道を探すママやパパが、実は大勢います。
注意深く見渡せば、あなたのすぐ身近にも同じ悩みを抱えている人がいるかもしれません。