M-1グランプリ準決勝にも進出したお笑い芸人であり、ゴミ清掃員でもあるマシンガンズ 滝沢秀一さんへのインタビュー。「コロナ禍の大量家庭ゴミ」回収し続けた清掃員のリアルでは清掃員の仕事やゴミの出し方について、エコバッグじゃ足りない。ゴミ問題にはリスペクトが必要だでは日本のゴミ問題と家庭でゴミを減らす工夫を教えてもらいました。
今回は、滝沢さんとご家族のお話。滝沢さんの活動をきっかけに47歳で漫画家になったという奥さまとの、コミュニケーションについて伺いました。
失敗を積み重ねながら夫婦になってきた
——先日、某テレビ番組で“お金がなくても笑顔の絶えない滝沢家の日常”が紹介されました。奥さまの妊娠をきっかけにゴミ清掃員の仕事を始められた滝沢さんに「家庭を守ろう」という父親の自覚が生まれたのはいつ頃でしたか?
滝沢さん:
実は妻が出産する直前まで、父親になるのがこわい気持ちがあって。プレッシャーから逃げるように飲み歩いたりしていましたね。子どもが生まれてからも、生活費を稼ぐことで手一杯で、しばらく父親としての自覚というのはなかったかもしれない。
ただ、育児についてはおむつを替えたりあやしたり、一通りやりました。
よく、赤ちゃんの腕に唇をつけて「ぶー!」って音を立てて笑わせてたんですよね。そしたらある日、赤ちゃんが僕の腕に「ぶー!」ってやり返してきて、驚いたことがあります。7〜8カ月の頃だったかな。それで「あ、赤ちゃんも人間だな!」と。
そうやって笑かした分だけ、子どもは返してくれる気がしますね。父親って、そんな日々の積み重ねでなっていくものなのかな、と思います。
——芸人の妻として貧乏に耐え、47歳で夫のために漫画家デビューまで果たした奥さまは、とてもよくできた人だと多くの人が感じているかと。ケンカなどされるんでしょうか。
滝沢さん:
いっぱいしましたよ〜。
特に出産後。母親も慣れない育児と親としてのプレッシャーで大変だと思うんですけど、それは父親も同じなんですよね。
お互い親をやるのが初めてだから、何度もぶつかりあって失敗しながら、夫婦の関わり方やちょうどいいバランスを体で覚えてきた気がします。
僕の場合「どちらかが権利ばかり主張しだすとうまくいかなくなる」ということが、夫婦関係で一番のポイントです。たとえば妻に、お金を持ってこい、とだけ言われたら不満に思ったかもしれない。
だから、一緒に生活するなかで、助けあったり歩み寄ったりすることが大事なのかなと思います。この人がいなきゃダメだな、という思いが、相手への思いやりにつながる気がしますね。