著者・川崎利栄さんが「ほったらかし」調理を始めたきっかけは?

 

フードスタイリストの川崎利栄さん

 

—— 川崎さんが「ほったらかし」の調理をはじめたきっかけを教えてください。

 

川崎さん 

朝が忙しく、朝ごはん、お弁当、身支度……。とにかく、自分のことは後回しで家族のことで手一杯の毎日です。家事の同時進行ができればどんなに楽だろうと考えていました。今までもいろいろな同時調理の方法がありましたが、意外と手を離すことが出来ず、結局、調理は同時にできても他の家事はできないという状態でした。

 

TVで温泉地の「地獄蒸し」を観た時に肉や野菜、卵までもが同時に出来上がっていて、これが家で作ることができればいいのではないかと思いました。蒸し器でも試しましたが、手軽ではなく、片付けも大変だし完成までに時間がかかりました。もっと時短でできないかと思い、クッキングシートが蒸し料理に使うことができることを思い出し、包んでフライパンで蒸してみたところ、自分が思っていたように手軽で簡単に同時調理ができました。

 

—— 川崎さんはご主人、3人の男の子、ご主人のご両親の7人という大家族で料理をするときのコツは?

 

川崎さん 

朝食は両親の朝が早いので別々にとっています。朝食は主人の会社(自宅と会社が同じ)でお弁当をとっているので、両親はそのお弁当を、主人は私が作ったお弁当を食べます。夕食は7人一緒で、私が7人分作っています。7人分の食事を作るときのコツは、コンロをうまく使い回すこと。フライパンは28cmと直径の大きいものを使います。

 

—— 食卓に頻繁に登場する、家族に人気のレシピを教えて下さい。

 

川崎さん 

ピビンパは肉・野菜がバランスよく食べられるのでよく作ります。7人分を作るときは野菜を包んで蒸し、肉は空いたコンロで焼いています(レシピは『朝8分ほったらかし弁当』に掲載!)。毎朝、サラダを食べるので、ブロッコリーをクッキングシートで包み、フライパンの空いたところに卵を5〜6個のせてゆで卵を作るという使い方もしています。

 

—— フォトスタイリストでもあり、『包み蒸し8分 ほったらかしのやせごはん』ではスタイリングも担当されているということで、おいしく見せるコツ、さらにおいしく見える写真を撮るコツも教えてください。

 

川崎さん 

おいしく見せるコツは、照りや焼き目などいわゆる「シズル感」をしっかりと表現すること。さらにおいしく写真を撮るには自然光で撮影をすることです。夕ご飯など、自然光が難しい場合は撮影後、画像処理を必ずします。ワンプレートで盛りつけをする場合には、21cmくらいのお皿を使うと盛りつけやすいです。

 

—— 家事育児に忙しい毎日を過ごすCHANTO WEB読者へのメッセージをお願いいたします。

 

川崎さん 

疲れているときは「疲れている」と家族にきちんと伝えること。無理は長続きしません。手作りのものと市販品をうまく使って、完璧を目指さず、ほどほどの家事で、「何だか今日はやる気がある!」というときは思いっきり家事をするなど、とにかく自分の体を大切にしてほしいです。

 

川崎利栄 / フードスタイリスト フォトスタイリスト

大阪・岸和田で170 年以上続く染物屋に嫁ぎ、夫と3人の息子、夫の両親の大家族7人で暮らす。料理の仕事をするなか、スタイリングや写真の美しさの必要性を感じてフォトスタイリングジャパンで学び、フォトスタイリストとなる。レシピサイトNadiaのNadia Artistとして、レシピ開発や撮影、スタイリングまで手がけるマルチな活動をしている。2020 年、初の著書となる『フライパンで3 品同時に作れる魔法のレシピ! 朝8 分ほったらかし弁当』を上梓。クッキングシートを使った画期的な「包み蒸し」調理がたちまち評判を呼び、「おはよう朝日です」(朝日放送テレビ)、「スッキリ」(日本テレビ)などに出演。フライパンを使った手軽なおいしいレシピで、注目を集めている。本書では、スタイリングも担当している。

 

取材・文/タナカシノブ