新型コロナウイルスの感染拡大にともない学校の休校が長期化したなか、「学び」について考えた人は、少なくないのではないでしょうか。
今回ご紹介する「こどもとおとなのサマースクール2020」は、出版社ミシマ社によるオンライン講座。
ミシマ社といえば、書店の利益率改善のための取次会社を通さない取引や、発注方法を簡略化するシステムづくり(一冊!取引所 https://1satsu.jp/)など、新しい挑戦を続けている注目の出版社。そのミシマ社が、子どもも大人も楽しく学べる体験をプロデュースしてくれます。
コロナで予定の立たない夏休みに、親子でオンラインサマースクールを楽しむのもいいかもしれません。
「未来はコロナ以外にも地球温暖化など、未知なる課題が山積している。かつてのように先生から子どもへの一方的な指導ではなく、子ども自身が主体的に考えることが必要だ」と語る代表の三島邦弘さんに、講座開催にあたっての想いを伺いました。
PROFILE:三島邦弘(みしま・くにひろ)
1975年、京都府生まれ。京都大学文学部卒業。出版社2社で単行本の編集を経験したのち、2006年11月に単身、株式会社ミシマ社を設立。東京・自由が丘と京都市の二拠点で活動。「原点回帰の出版社」を標榜し、ジャンルを問わず一冊入魂の本を刊行している。著書は『パルプ・ノンフィクション』(河出書房新社)など。http://www.mishimasha.com/
「学びは遊び」子どもは自ら学び、失敗して成長する
——さっそくですが、8月2日から始まった「こどもとおとなのサマースクール 2020」、オンライン講座開催のきっかけを教えてください。
三島さん:
新型コロナウイルス感染拡大という現状において、私たちは拡大防止と経済破綻の阻止という難題を突きつけられています。このような問題は、今後もっと増えていくはず。子どもたちは、政治家も親も先生も、誰一人答えがわからない問題をいつか解けるように、知力と体力をつけなければなりません。そこで、これからの時代に求められる感度を身につけるため、まずは「学びはおもしろい、学びは遊びだ!」という体験をしてもらおうと、今回のサマースクールを企画しました。
——「学びは遊び」とは一体どういうことでしょうか?
三島さん:
「学び」と「遊び」はほぼイコールだと思います。本来の「学び」は、生きるための知恵をつけること、知らないことを知る喜びのことです。たとえば、園児がブロック遊びで初めて家を作ったときの「できた!」という感動は、何ものにも代えられない「学び」です。
学校の勉強もそれと同じじゃないといけないはず。「学び」というのは、親や先生に与えられてこなす、正解があるものだけではなく、子どもが勝手にやっていくのが理想だと思います。
——子どもが好き勝手に遊んでいると、親はついつい「危なくない?」「もっとこうしたら?」などと口出ししてしまいますが…
三島さん:
そうですよね。だけど自分を振り返ってみても、口出ししない、見守る、つまり、その子を信じる、親がそうしてくれた感覚は、はっきりと残ります。「自信」となって。
私の会社にも毎年新卒入社する社員がいますが、「おいおい! 何してんねん!」ということがいっぱいあります(笑)。新人の子が100個仕事をやったら100個全部失敗ということもある。でも仕事は、失敗してそこから自力でつかんでいくしかない。失敗の責任は上司がとって、彼らに失敗させてあげられる状況を作ることも必要です。子育てもきっとそうですよね。