公的保険は意外と保障が手厚いことを知ろう

コロナに感染しても医療費の心配はしなくて大丈夫なことがわかりました。とはいえ、これを機に民間の医療保険への加入を検討している人は、まず、民間の医療保険に加入する前に「公的保険」でどれくらいの保障がカバーされるのかを知っておきましょう。というのも、意外に公的保険の保障は手厚いからです。

 

現在、私たちが病院に行って治療を受けたり、薬をもらうにしても、基本的に自己負担は3割。その他に1ヶ月の医療費には自己負担限度額の割合が決められていて、超過分を申請すると還付が受けられる「高額療養費制度」もあります。この制度を使えば、健康保険が適用になる診療については、1ヶ月で多くても9万円程度に抑えることが可能です。

 

例えば、医療費を自己負担分で30万円請求されても、後日請求すれば高額療養費制度で約21万円が戻ってくる仕組みです。対象となる医療費は入院だけではなく、通院であってもOK

 

また、高額な医療費がかかることが想定される場合は、事前に病院に「健康保険限度額適用認定証」を提出しておくといいでしょう。高額な医療費を会計時に立て替える必要はなく、約9万円を払うだけですみます。

 

では、民間の保険に入る必要がないかというと、そうとも言い切れないケースも。貯蓄がない場合にはいざという時に保険金が給付されれば心強いでしょう。また、差額ベッド代や先進医療など、健康保険が適用にならない費用については全額自己負担になるからです。

 

民間の保険は、こうした公的保険では補えない部分がカバーされるので、それに備える意味で加入するのがよいでしょう。

 

最近は医療技術の進展や国民医療費の増大などで入院日数の短期化が進んでいて、「入院保障」中心の医療保険は役に立ちにくい傾向に。医療保険に加入する場合には、最新の医療技術や通院治療を保障する医療保険かどうか調べた上で、加入するようにしたいですね。

 

今回は、病気・ケガに備える医療保険についてお話しましたが、ひとくちに保険といっても死亡に備える保険や介護に備える保険など、様々な種類があります。大きな保障には保険で備えるという具合に、各家庭の状況に応じて上手に活用しましょう。

文/高山一恵