女性の社会進出が進み、働く女性の数が年々増えている現代日本。平成30年の厚生労働省のデータでは、女性雇用者数は前年に比べ81万人増加の2671万人となっています。しかし、これにともない過労やストレスに悩まされる人も。

 

「最近は、女性も働く時代になり、仕事による過労や食生活の乱れが妊活にも影響を与えているんですよ」と教えてくれたのは、『「妊活食事法」コウノトリごはん』の著者、小山田明子さん。自身も5年間の不妊治療を経て、40歳と43歳のときに男の子を出産しています。その時に出会ったマクロビオティックという食事療法をベースに現在は不妊カウンセラーとして活躍されている方です。

今回はそんな食事のプロである小山田さんに『「妊活食事法」コウノトリごはん』で紹介されている日本人の身体にあった食事法や、生活習慣について詳しく教えてもらいました。

食生活の見直しは身体との対話から

仕事をしながら妊活をしている方にとっては、3食しっかりと食べ、排便して、きちんと睡眠をとるという健康的な生活を送ることが難しいこともあります。そんなときは、まず食生活から見直してみるのがおすすめ。

 

本書では、忙しい方でも簡単に食生活を改善することのできるマクロビオティックという食事法が紹介されています。 マクロビオティックについて聞いたことがある人は、「かなりストイックな食事のことじゃないの?」と思っているかもしれません。しかし、小山田さんは単純な食事制限ではなく、自分の体調や環境に適した食材を食べることを重視しています。今日からできるマクロビオティックの入り口として、まずは3つのこと意識してみましょう。

食材を選ぶときは「旬」を意識してみる

旬の食べ物とは、一年の中で栄養価が最も高く、味も濃い時期に収穫された作物です。また、夏の暑さや冬の寒さなど、気温変化によるトラブルを解決する役割もあり、例えば、スイカを夏に食べると、水分が体内に巡り、身体の火照りを抑えてくれます。 できるかぎり旬の食材を食事に取り入れられるように意識してみましょう。

素材を丸ごと食べつくす

料理をしていると、食材として見落としがちな皮や芯。しかし、皮や芯にはビタミン、ミネラルなどの身体に嬉しい栄養素が含まれており、野菜と果物の皮と実の間には旨みがあることがわかっています。たとえば、大根やカブの葉をお漬物にしたり、皮をむかずに丸ごと煮物にしてみましょう。食材の持つ栄養を余すことなく体にとりいれられますよ。

自分のいる環境を知ることで身体にあった食べ物がわかる

自分の住む土地で育てられた食材は、自分の身体と密接に関係している「身土不二(しんどふじ)」という考え方があります。その土地で収穫される食材は、自分の身体の環境を整え、生かしてくれる食材なのです。 例えば、マンゴーは、南国で採れる果物です。これは、暑い環境に住む人々の身体の熱をさます食べ物でもあります。そのため、マンゴーを熱帯地域で暮らしてしない日本人が食べ過ぎてしまうと、身体を冷やしてしまいます。 海に囲まれた島国に住む日本人は、四季折々の中で育った野菜や穀類に合わせて、ししゃも、アジなどの手のひらサイズの動物性たんぱく質を取るとよいそうです。

 

忙しくてなかなか食生活を改善できないという人も、まずはこの3つを意識するだけなら挑戦しやすいのではないでしょうか?

 

また、妊活中の方に意識してほしいのは、この体質改善にかかる期間は早くても3ヶ月ということ。これは年齢により多少の変化はありますが、卵巣の中にある原始卵胞が排卵をするまでに約3ヶ月かかるため、まずは3ヶ月間をかけ体質改善をすることにより、健康的な体を維持できるようになり、その延長線上に子宝体質があるそうです。

今日からできる簡単な妊活ごはん

3つのポイントに慣れてきたら、マクロビオティックの基礎である「五味」を取り入れることで、さらにバランスの良い食事になります。    

 

五味とは「苦」・「甘」・「辛」・「酸」・「塩辛い」から構成されている味の要素のことです。「苦」は、心と小腸、「甘」は、脾臓と胃、「辛」は、肺と大腸、「酸」は、肝臓と胆、「塩辛い」は腎臓と膀胱と、それぞれの器官の働きを良くしてくる効果があるそうです。

 

ここでは、ホルモンバランスが乱れ、疲れやすい夏にぴったりな、ごはんをお教えします。

旬と五味を意識した夏の3食献立

朝:オクラと山芋と納豆のネバネバ丼(甘苦)/ナスの味噌汁(甘塩) 昼:冷やし中華【麺(甘)、キュウリ(甘)、トマト(甘酸)、みょうが(苦甘)・卵焼き(甘)】/すいか(甘) 夜:白米(甘)/ゴーヤチャンプル【ゴーヤ(苦)、豚肉(甘)、卵(甘)】/ワカメとキュウリの酢の物(酸) 間食:旬の果物/砂糖なしのドライフルーツ/少量のナッツ類

 

このように旬の夏野菜を使うことを意識し、五味をバランスよく取り入れれば、特別手間のかかる調理は必要ありません。手に入れやすい食材ばかりなので、ぜひ試してみてください。

夏のだるさを解消する! 簡単! 夏みかんの寒天ゼリー

デザートや間食は、果物や甘みのある野菜にすることが好ましいですが、たまには甘いおやつが食べたくなるかもしれません。そんな時にぴったりな「甘」と「酸」を組み合わせた夏みかんの寒天ゼリーを小山田さんに教えてもらいました。

【材料(2カップ分)】

夏みかん…………1個 粉寒天……………2g

きび砂糖……大さじ1

 

【作り方】

1. 夏みかんは皮をむき、薄皮から実をはがす。 2. 鍋に水300cc(分量外)と粉寒天を入れて弱火で熱し、よくかき混ぜる。煮たってから、2分ほど加熱する。 3. 火を止め、きび砂糖、夏みかんを加えて混ぜる。 4. 器にそれぞれ均等に注ぐ。あら熱がとれたら冷蔵室に入れて冷やし固める。

 

夏みかんにひと手間加えることで、夏にぴったりな涼しいおやつが完成します。ポイントはゼラチンではなく粉寒天を使うこと。食物繊維が豊富な粉寒天を使うことでお通じの改善につながります。

食事をする際に気をつけることは?

何を食べるかというのも大切ですが、食事の前と後、食事中にも健康な身体を作るためのポイントがあります。

 

消化を良くするため、食前はなるべくお腹がすくまで食べないようにしましょう。   

食事中は、唾液の中に含まれるパロチンという若返りホルモンを分泌させるように、30回は噛むとよいそうです。 食後は軽く体を動かすことが重要。食事をすると血糖値があがり、インスリンが分泌されます。インスリンが過度に分泌されると、肥満の原因になるため、食後は家事や、軽い運動をするのがおすすめです。

 

また、妊活中は「冷え」が大敵ですので、身体を冷やすような習慣は避けるように心がけ、冷たい飲み物は氷を少なめ、もしくは入れないようにしましょう。夏に冷たいものをとり過ぎると秋の体調に響きます。

妊活は女性だけのものではない

本書について小山田さんは「女性だけでなく、男性にも読んでほしい本ですね。まだ『妊活は女性がするもの』と思っている男性も少なくないんです」と語ります。

 

実際に不妊治療を経験した小山田さんも、妊活中はひとつひとつの出来事に一喜一憂してしまったと教えてくれました。

 

平常心を保つことが大切だと分かっていても、それは、ひとりでできることではありません。夫婦で一丸となって、一緒に妊活をしていくことがポイントだそうです。例えばクリニックにはできる限り夫婦で一緒に行ったり、1周期の治療が終わったら結果にかかわらず、二人で食事をしたり楽しい時間を過ごすことがいいんだとか。

 

食事の見直しにしても、夫婦のどちらか一方だけが頑張るような形にならないようにすることが大切です。

 

今すぐに妊活を考えていない人にも読んでほしい一冊

現在、私たちは365日好きな時に好きなものを食べられるという環境にいます。しかし、その便利さ故に身体のサインに気づかず、体調を崩した経験がある人も少なくありません。妊活中ではない方も、食事や生活習慣を整えることは身体と心のデトックスになります。

 

本書を参考に、つい後回しになってしまう食生活について一度、見直してみてはいかがでしょうか?

 

今回ご紹介した『「妊活食事法」コウノトリごはん』は、食事療法だけではなく、著者の不妊治療の体験談、ここでは紹介しきれなかった詳しいマクロビオティックの実践方法、生活習慣など、ためになる内容が盛りだくさんです。ぜひ、一度手にとってみてください。

 

 PROFILE 小山田明子さん

子宝体質カウンセラー、日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー、マクロビオティック望診法食事指導士。

自身の不妊治療の経験とエビデンスを基にマクロビオティック望診法を組み合わせた不妊カウンセリングをしている。

 

取材・文/ちゃんと編集部