「ランドセルは水色がいい! それか金か銀か虹色!」
自由すぎる5歳長男の発言をきっかけに、わが家でもランドセル探しがスタート。ラン活体験を通して見えた壁については
「「水色のランドセルが欲しい!」息子のラン活で大苦戦」で紹介しましたが、売り手であるメーカー側は「ランドセルの性差」をどう捉えているのでしょう?
ラン活のスタート地点は「性別」
ランドセル専門メーカー各社の公式サイトは、ほとんどの企業がまず「性別」で商品を振り分けています。
公式サイトのトップ画面で、真っ先に目に入る場所にあるのは「おんなのこモデル/おとこのこモデル」といった二択のバナー。色よりも、価格帯よりも、デザインよりも、まずは「性別」によって異なるページに案内される仕様が多数派です。
それぞれのページでも、いわゆる「既存のジェンダー観」が前面に出ています。女の子向けは赤やパステルカラーで甘めなデザインが多く、男の子向けは黒がほとんどでダークカラー主体。筆者の息子が希望する「パステルブルーの男の子向けランドセル」はほぼ見当たりません。
ところが、各社の公式サイトやパンフレットを見比べる中で、「ジェンダーに対するスタンスが他社とは明らかに違う」と感じた企業がありました。
それが「土屋鞄製造所」、工房系ランドセルの筆頭として支持されている人気ブランドです。
1965年創業の老舗メーカーは、多色化する女子とは対照的に「黒一強」な男の子のランドセル事情をどう捉えているのでしょうか。土屋鞄製造所 ランドセル広報担当の高橋夏生さんにお話を伺いました。
「男の子」「女の子」で入り口を分けない意図
──「土屋鞄のランドセル」は「男の子/女の子向け」という性別による分け方をしていないように見えます。これは意図的にでしょうか。
土屋鞄製造所(以下、土屋鞄) 高橋さん:
弊社では以前からカタログやWEBサイトでは、「男の子/女の子」を分ける形ではご案内しておりません。公式カタログの表紙にも、「一見して男の子か女の子は見分けがつかない、どちらにもとれるようなお子さま」の後ろ姿のイラストを採用しています。