現代はネット社会が進んでおり、今まで手書きや手作りで行っていた制作作業がパソコンやネットワークを通して制作されています。また、SNSの発展により、創作物が簡単に共有できるようになりました。 今回はそんなデジタル社会で役立つ資格をご紹介したいと思います。

おすすめ資格1 ビジネス著作権検定


ビジネス著作権検定とは、サーティファイ著作権検定委員会が主催する民間資格のことを指します。著作権に関する基本的な知識や、具体的な事例判断などが問われる試験です。 試験はBASICと初級、上級の3種類があり、毎年2月、6月、11月に試験が開催されています。

ビジネス著作権検定に合格するとどんなメリットがあるのか


ビジネス著作権検定を受けて資格を得ると、著作権を理解しビジネスで活用できる知識を持っているということを客観的にアピールすることができます。 特にコンテンツビジネスに関連した企業では、著作権の取り扱いに関する意識は高く、著作権について知識のある人材が求められています。目指す業界によっては、有利に働いてくれるでしょう。 また、コンテンツビジネスを取り扱う企業でなくても、情報モラルの教育や著作権に関わる意識の向上に興味を持っている企業は少なくありません。資格を取得しておいて損をすることはないはずです。 さらに、著作権のエキスパートになるためのステップアップに繋げることもできます。 国家試験である「弁理士試験」「知的財産管理技能検定」の対策として活用することも可能。「知的財産管理技能検定」では、ビジネス著作権検定が受験資格として認定されているので、中長期的にキャリアアップを考えている人にも注目してもらいたい資格のひとつです。

気なるビジネス著作権検定の内容は?


上で述べたように、ビジネス著作権検定には「BASIC」「初級」「上級」3種類の認定基準があります。それぞれ具体的に見てみましょう。

BASIC

「BASIC」の試験では、日常で著作権を扱う時にトラブルにならないための、著作権制度の初歩的な知識を身につけているかどうかが問われます。合格得点率は65%以上です。 学習時間の目安は10時間。 試験時間は50分間で、25問の問題が出て、日常生活において必要な著作権に関する基礎的な知識について〇×式、多肢選択問題として出題されます。

初級

「初級」は著作権とはどんな権利かを理解していて、利用者として他人の著作権を侵害せずに正しく著作権を利用できるかどうかが認定基準です。BASIC同様、得点率65%以上が合格ラインとなっています。 学習時間の目安は15時間。 試験時間は60分間で30問の問題が出されます。ビジネス実務や日常生活において必要とされる著作権の基礎的な知識や、著作権法および関連する法令に関わる基礎知識、インターネットに関連する著作権および情報モラルについての基礎知識について、多肢選択式問題として出題されます。

上級

「上級」は著作権に関する基本的な知識を身につけていることに加え、応用力が求められます。 著作権に関する知識を活用し、著作権利用に関わる問題点を発見して解決することができるかどうか、契約・司法制度・条約に関する知識を活用し、専門家の助けを得ながらも著作権に関わる実務を展開することができるかどうかが認定基準。 初級までに比べると難易度がかなり上がります。合格基準も得点率70%以上となっています。学習時間も45時間が目安とされています。 なお、上級合格者には国家試験である知的財産管理技能検定2級の受験資格が与えられます。 上級は試験時間が90分。40問の問題が出て、初級に関する内容のほか、事例での問題点発見と解決能力を問う問題が多肢選択式問題として出題されます。

ビジネス著作権検定はどんな人が受験しているの?


合格後には法律に携わる方や企業や教育機関というさまざまな団体や作品を作る方、利用する方に役立ちます。例えば、以下のような方にはおすすめだと言えるでしょう。

  • 法科系大学、短大、専門学校の在学生で、将来法律事務所や企業の法務担当、公務員等の法律に関係する仕事を考えている方
  • プログラマーやクリエイター等の専門職を目指しているコンテンツ制作系大学、短大、専門学校の在学生
  • 知的財産や著作権に関する企業経営を考えている法科大学院、技術経営(MOT)スクールの在学生
  • コンテンツホルダー及びコンテンツ利用企業、団体に在籍している方
  • 一般企業の総務、法務、知的財産担当の方
  • その他著作権関連団体、行政機関の職員

上記に該当しなくても、今は著作権に関することが一般常識になってきているので、社会人として著作権の知識を学べるきっかけになるはずです。

 

デスクの上のPC

おすすめ資格2 マルチメディア検定


マルチメディア検定とは、公益財団法人画像情報教育振興協会が行なっている資格です。同協会によると、マルチメディア検定について以下のように説明されています。

マルチメディアに関連するディジタルコンテンツ、情報技術の基本的な知識と、日常生活や社会へのマルチメディアの応用について、幅広い知識を測ります。

具体的には、コンピューターや周辺機器、知的財産に関する基礎知識、マルチメディアの活用方法などについて問われる検定のようです。 協会のHPでは出題内容について次の6項目が挙げられていました。

 

  • マルチメディアの基礎
  • メディアの処理技術
  • コンピューターのしくみとネットワーク
  • ディジタルコンテンツ
  • マルチメディアの社会への応用
  • 知的財産権

 

普段から仕事でパソコンを使っていて、WordやExcelなどで問題なく作業できていても、基本的な知識は実はあまりよくわかっていない、ということがあるかと思います。 何か資格がほしいという人だけなく、マルチメディアについて改めて学びたいという人にもおすすめの検定と言えるでしょう。

マルチメディア検定の難易度は?

マルチメディア検定のレベルは「ベーシック」と「エキスパート」の2つに分かれています。 「ベーシック」は、マルチメディアの扱い方とインターネットを用いたコミュニケーション技術に関する基礎知識と、その知識をさまざまな生活の場面で利用する能力が問われます。 一方で「エキスパート」は、マルチメディアを用いたネットワーク技術・コミュニケーション技術・プレゼンテーション技術に関する専門的な知識が必要とされています。また、アプリケーションシステムや製品開発といった、ビジネスの場面で知識を応用できるかどうかがポイントとなってくるようです。 2019年度前期の合格率を見てみると、「ベーシックは」65.30%、「エキスパート」は25.00%という数字に。

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いきなり「エキスパート」を受験することも可能ですが、合格率から考えるとまずは「ベーシック」から挑戦するのが安心ではないでしょうか。

マルチメディア検定の申し込み方法

個人で申し込む場合は、以下の2通りの出願方法があります。

1. インターネットで申し込む

検定を行なっている協会のサイトの「個人受験のお申込み」から申し込むことができます。検定料の支払いもクレジットカードでできるため、仕事や育児の合間に願書を出すことができるでしょう

2. 郵便局で申し込む

郵便局備え付けの「払込取扱票」に必要事項を記入したうえで、郵便局にて受験料を払込む方法。 払込みにより、出願手続きが完了します。 ちなみに、検定料は「ベーシック」は5500円(税込)、「エキスパート」は6600円(税込)です。

 

ちなみに、マルチメディア検定を受験できるのは年に2回のみ。例年7月中旬と11月の下旬に受験日が設けられています。 受験場所については2019年9月現在、20カ所の都道府県で開催が予定されています。関東や関西だけでなく、東北や四国でも受験が可能となっています。

マルチメディア検定が特に役に立つ職種は?


マルチメディア検定は、広くビジネスパーソン向けの資格と言えますが、特にパソコンやインターネットに精通している人が多い場所で活用できるでしょう。 例えばwebデザイナーやゲームデザイナーなどのクリエイター、他にもゲームデザイナーやソフトウエア開発、コンピューターを使ったマーケティング職などを目指している人におすすめの資格です。 とはいえ、PCが使えて当たり前の現代社会。ウェブ関係の仕事でなくても、持っていて損はない資格ではないでしょうか? また、この資格をとったことで、新しいキャリアを築くきっかけとなるかもしれません。

 

 

おすすめ資格3 Office系資格の代表格・MOS


MOSとは「マイクロソフト オフィス スペシャリスト」の略で、ExcelやWordをはじめとしたOffice系アプリケーションのスキルを証明する資格となっています。つまり、ExcelやWordをどれだけ取り扱えるかということを問う試験と言えるでしょう。

MOSを取得するメリットは?

MOS資格を取得するメリットとしては、PCのスキルを客観的に証明することができるということ。 転職活動で「PCが使えます」とアピールするのはプラスになるでしょう。しかし、「使える」の幅は非常に曖昧です。例えば、Excelを使って簡単なグラフが作れる程度の能力なのか、それとも関数計算を組み合わせた複雑な分析表が作れるのか。同じ「使える」でも、実際の能力にはかなりの差があります。

 

あるいは、本当はWordもExcelも使いこなせるのにも関わらず、「PCが使えます」と言ってしまったばかりに、相手には「どうせ基礎的なことしかできないんだろうな」と誤解されてしまうことも。

 

そんなとき、自分の力量を端的に説明できるのがMOS資格のメリットです。

MOS資格は絶対に取得すべき資格なの?


メリットしかないように思えるMOSの資格ですが、ときおり「MOSは使えない」「MOSを持っていてもPCの苦手な人も少なくない」といった意見を耳にすることがあります。 これには2つの言い分があるようです。

実務でせっかくの知識がいかせないことも

パソコン教室、あるいはハローワークが主催する職業訓練校では、就職に役立つようにとMOS資格の取得を推奨しているところが多いです。 ところがいざ実務になると、MOS資格で勉強したことがいかせないということがあるようです。企業ごとに独自のやり方があったり、MO以外のツールが使われていたりといことは珍しくありません。 そのため、どうせ実務を通していちから学び直すことになるのであれば、そもそもMOS資格を取らなくてもよいのでは?と思う人がいるようです。

MOSよりMOEの方が使える?

MOEとは「マイクロソフト オフィス エキスパート」の略で、MOSとひとくくりにされていることも。しかし実際はMOSとMOEの間には相当な差があり、難易度がMOEが高くなっています。 そのため、企業側がMOS取得者にMOEレベルの知識やスキルを期待してしまい、実際のレベルに拍子抜けしてしまう、ということがあるようです。

MOSを取得するだけでなく実績のアピールも大事


もちろん、勉強してMOS(MOE)資格を取ることはExcelやWordなどのさまざまな機能を覚えるわけですから、無駄になることはありません。 ただし、実際に就職活動や転職活動で資格を生かしたいのであれば、企業側の期待とのギャップを埋めることも必要になるということが言えるでしょう。 では、パソコンスキルがあることを適切に伝えるにはどうしたらよいのでしょうか? そこで大切になってくるのが、具体的な実績をどのようにして説明するかということです。

具体的に実務で積んだ実績とは?


例えば、Excelには関数というものがあります。例えば、数値の合計を求める際に使うSUM関数をはじめ、vlookup関数やcount関数などたくさんの関数があります。これらの関数を、より多く使えるに越したことはありません。

 

もしExcelの知識やスキルが求められる職場であれば、ご自身が使える関数を説明して、自身のレベルをアピールすることもできるでしょう。さらに、Excelにはピボットテーブルやマクロといった特殊な機能が付いています。これらができて初めて「Excelができる」と判断する企業も多いことでしょう。

 

面接で「マクロの作成や編集ができます」と言えれば、企業からの評価も高くなるかもしれません。ちなみに、ピボットテーブルやマクロの作成はMOSではなく、MOE試験の範囲となります。MOS資格を取得していて、さらに、実際取り扱うことができるMOEレベルのスキルを説明すれば、採用側も前向きに評価してくれる可能性が高くなります。

MOE資格にチャレンジしてみるという手も


ここまで見て、「私はOfficeの簡単なことしか覚えていなかったんだ…」とがっかりしてしまった方がいるかもしれません。 しかし、PCスキルは今からでもアップすることができます。 例えば、MOE資格を取得してみるというのも一つの方法です。例えExcelとWordの2つだけでも、MOEを取得すれば幅広い知識を持ったOffice系のエキスパートとして一目置かれることでしょう。 試験範囲を勉強することも大事なことですが、できれば試験に受かったその後についても考えたいところ。特にピボットテーブルやマクロは演習を数多くこなしておきましょう。今後、職場で役に立つはずです。

MOE資格をすぐに取得できない場合は…?

時間的な問題などで、MOEをすぐに取得することが難しい場合もあるでしょう。その際は、多少苦労はするかもしれませんが、実務を通して新しいスキルを覚えてしまうというのも手です。 最初はわからないことや、戸惑うことが多いかもしれませんが、実務を通して勉強していくと定着率が高く、理解も深まります。また、実務にすぐに生かせるというのも大きなメリットと言えるでしょう。

 

転職やスキルアップのための資格ならデジタル分野に注目

今やデジタル関連のスキルはマストと言ってもいいほど。さまざまな業界でその能力が求められています。 転職やスキルアップを考えているのであれば、ぜひ今回ご紹介した資格に注目してみてくださいね。

 

【引用元】

※1  検定試験 応募者数と合格率(公益財団法人画像情報教育振興協会)

【参考サイト】

・マルチメディア検定(公益財団法人画像情報教育振興協会)

 

文/佐藤仁美