今年の流行は〇〇カラー、スカート丈は〇〇丈!など、毎年トレンドが発信され、新作の洋服はどんどん生まれ続けます。より可愛らしく見える流行りの洋服は魅力的でつい買ってしまう。そんな方も多いのではないでしょうか。
「リビングの収納家具選び…失敗する人の共通点「正しい選択基準は?」」でも書いたように、買い続ける=洋服の数が増え続ける、ということ。数があるほど手間も時間も労力もかかるだけでなく、管理が面倒になり放置しがちです。
そうならないためには、もちろん洋服自体の保有数を定期的に見直すことも大切ですが、洋服を見直す前にもできることがあります。それがクローゼットの収納システムを片付けやすくしておくことです。
今回はその要とも言える「収納グッズの選び方」についてお伝えします。
1. ”たくさん入る”を基準に選ばない
収納グッズを選ぶときに多くの人が陥りやすいNGポイントは、すっきり片付けたいと思うあまり、たくさんの洋服が一気に入れられるものを選ぼうとする点です。
多量に入るからすっきり片付く。これは確かに間違いではありません。1つのケースにたくさん入れられれば、散乱している洋服は一気に片付くでしょう。
では、なぜそれがNGなのでしょうか?例えば衣装ケースの場合、高さ(深さ)があるケースだと、何層にも洋服が積み重なり、本当に着たい服が見つかりません。それだけでなく、探そうとするだけですぐ、中がぐちゃぐちゃに。
奥行きがある引き出しの場合は、最後まで引き出すことに疲れ、手前だけを使いがち。奥のほうにいったい何が入っているのかわからないまま洋服が増え続けることになり、どんどん片付けが難しくなります。
その結果、「すぐぐちゃぐちゃになるからなるべく触らない」「面倒だから今度片付けよう」となり、洋服の見直しから遠ざかってしまいます。
たとえば、衣装ケースであれば、高さ23cm、幅35cm前後、奥行きは60cm以下のものが汎用性が高く扱いやすいので、片付けのハードルも下がります。
なお、事前にクローゼットのサイズ(幅・高さ・奥行き)を計測しておくことが大前提です。意外と忘れる人が多いので、気をつけてください。
2. 何度上げ下ろしをしても負担にならない重さにする
クローゼット管理で面倒になるのが、衣替えやクローゼット自体の掃除です。このタイミングは、手持ちの洋服を見直す大きなチャンスでもあります。それなのに、「面倒だから何年も触っていない衣装ケースがある」「自分がどれだけ洋服をもっているかわからない…」そんな声をよく耳にします。
こうなってしまう原因のひとつとして『収納を動かすこと自体が面倒』になっていることが考えられます。重い、運びづらい、危ない、疲れる。このような難点があるのではないでしょうか?
少なくともクローゼットの枕棚には、より軽量でコンパクトな収納グッズを使うことをおすすめします。使いやすいのは、自分の肩幅よりも腕を広げずに持てる幅や高さ、奥行きのサイズ。素材はポリエステル、布製品など、重くないものを選びます。
単に収納グッズそのものの重さだけではなく、洋服を入れたあとの重さを考慮しておくことも大切です。だからこそ、1で述べたように、たくさん入ることを重視しないほうがいいと言えます。
3. 隙間までムダなく使おうとしない
たくさん物を入れるとそれだけ片付けの時間も労力もかかることは、前回の記事「リビングの収納家具選び…失敗する人の共通点「正しい選択基準は?」」でも触れましたが、クローゼットも例外ではありません。詰め込んで見た目上はきれいに片付いたのに、すぐに元通り…そんな経験はないでしょうか?
このようにすぐに散らかるのは【日々の片付けが難しい】せいでもあります。隅から隅まで使ってきれいに収納しても、ギュウギュウに詰め込んだクローゼットには隙間がなく、洗濯を終えた衣類も戻しにくいもの。
簡単に片付くには、きちんと戻せる場所とスペースが適度にあること、つまり、ある程度の“余白”が必要と覚えましょう。
安易に収納量をアップするハンガーやポールを取り入れる際には十分注意を。前後、上下に衣類をずらして収納することで吊るせる量は増えますが、出しにくさや下の衣装ケースが使いにくくなるなどのデメリットもあります。
ある程度の余白は日々の使いやすさにも直結します。服が入りやすい、手が入れられやすい、奥のものに手が届きやすい、全体が見渡しやすい、洋服を選びやすいなど、メリットがいっぱい。
隙間があるからと収納グッズを買い足したくなったらまず、余白を生み出すための洋服の見直しから始めることをおすすめします。
4. 収納グッズで無駄にスペースを使っていないか
クローゼット収納にはポールに吊るせる便利グッズもたくさん販売されています。ベルト収納用のハンガーや小物用のウォールポケット、バッグ用収納など。これらを洋服と一緒に吊るせば、利便性が上がるのは間違いありません。ただ、使用頻度が少ないものや収納量がわずかなものにたくさんのスペースを使っていないか、一度確認する必要があります。
ハンガーで吊るした洋服がギュウギュウで出し入れしづらいと感じたら、そのような収納グッズを一度省いて、使い勝手をみてみるのもひとつの手。必要かどうかの見極めを繰り返すことで、本当に使いやすいクローゼットがつくれます。
ハンガー類も大量になると無駄にスペースを取ってしまいます。使わないハンガーは処分する、クリーニングハンガーは早めにクリーニング店に戻す、リサイクルに出すなどを心がけましょう。
ちなみに、ハンガー自体の厚みやカーブも、思いのほかスペースを取ります。スーツなど型崩れが心配な洋服以外は、省スペースで吊るせるハンガーを使うといいでしょう。
5. 続けられる収納かどうかで選ぶ
デザインがおしゃれ、ズラリと並べると見映えするなど、収納グッズを選ぶ際にも見た目は気になるもの。とはいえ、毎日の生活は静止画のままではありません。
このことを忘れてしまうと、片付かない収納になりがちです。
- 取り出すときの姿勢はどうなるか
- 洋服を片付けるときの動作はどうなるか
- 衣替えのときにはどう動かすか
など、自分が日々使うことをイメージして選ぶことが一番重要。それこそが、本当に片付くクローゼットへの一番の近道です。
例えば、洋服をたたむのが苦手なのに衣装ケースがずらりと並んでいても、いつかきっと使わなくなります。重いものが苦手なのに積み重ねるタイプの衣装ケースを何段も重ねていたら、使わない衣装ケースが増える一方です。
スカートハンガーなどは、吊るすまでにひと手間が必要なものもあります。疲れているとき、急いでいるときにもその手間が負担でないかを考え、自分がより簡単に使えるハンガーを選ぶことをおすすめします。
クローゼットの収納グッズ選び方まとめ
たくさんの洋服を見栄えよく収めることがよい収納だとは言えません。その状態が簡単に続けられてこそ、その人にとっての本当に片付く収納であり、日々の家事がラクになることに繋がります。
①収納量を欲張り、たくさん入ることを目的に収納グッズを選ばない。
②無理のない動作で上げ下ろしができる持ちやすさと軽さで選ぶ。中にものを入れたあとのこともイメージ。
③隙間収納、デッドスペース活用はほどほどに。
④頻回に使うものにスペースをたくさん使う。便利グッズを使いすぎない。
⑤見た目で選ばず、毎日の暮らしのなかで使いやすいか、忙しくても疲れていても続けられるかで選ぶ。
上に挙げたポイントを意識して収納グッズを選んでみてください。洋服の量の見直しについては別の機会にまとめたいと思います。
文/瀧本真奈美