top

vol.33 制服の選択制

育児、仕事、家事、社会のこと、ママたちが普段気になっていることをCHANTOモニターに大調査!ママたちの「どうして?」を「なるほど!」に変える記事をお届けします。vol.33は「制服の選択制」についてです。

今、全国で制服の選択制を取り入れる学校が増えています。性別に関わらずスラックスやスカートを選べるようにしたり、女子生徒がスラックスを選べたりと学校によって詳細は違いますが、背景にはLGBTの生徒への配慮などが伺えます。

 

LGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった性的少数者の総称です。LGBTの生徒にとって自身の性のあり方と異なる制服を着ることは苦痛なこと。自分が着たい制服を選べることで悩みが解消され、誰もが自分らしく学校生活を送るひとつのきっかけになるかもしれません。

 

また、生物学的な性ではなく「男はズボン、女はスカート」「男は仕事、女性は家事」というような社会的・文化的に作られた性差を一般的に「ジェンダー」と言いますが、制服の選択制はそうした男らしさや女らしさの強要をなくす動きとも言えます。

 

今回は、制服の選択制についてCHANTOモニターのみなさんと考えました。

 

制服の選択制導入だけに止まらない取り組みを


まず「制服の選択制についてどう思いますか?」の問いには、「賛成」58%「どちらかといえば賛成」18%、「どちらかといえば反対」9%、「反対」1%、「どちらとも言えない」14%という結果になりました。好ましく思っている人は76%となっています。

 

賛成の理由については、「LGBTの生徒への配慮に賛成」というの他「スラックスを選択できれば防寒にもなる」といった声が主だっています。また、学生時代にスカートを履いていて「男性からの目線が嫌だった」「怖い目にあったことがある」という自身の経験から防犯面の理由を回答していた人もいました。

 

「反対」「どちらとも言えない」には、「見た目の統一性がなくなる」という意見、「まわりの目が変わらない限りイジメにつながるだけ。選択可能にするだけでなくさらにもう一手必要」という意見なども。単に制服の選択肢を増やすだけでは、この取り組みの目的が達成できないのではという懸念が伺えました。

 

そうした課題は制服の選択制を導入した学校側も把握しており、

LGBTへの理解を深める機会を作ったり、体型へのコンプレックスやスカートへの苦手意識から制服を変更してもいいのだということを生徒に呼び掛けたりと、様々な取り組みをしているようです。

親目線で考えた、教育現場が抱えるジェンダー問題

制服以外にも「園や学校に変えてもらいたい”男らしさ””女らしさ”を強いる慣習や校則があれば教えてください」という問いに複数回答で回答してもらったところ、「髪型」や「持ち物の色」「帽子の形やマークなど男子用・女子用の差」「家庭的な女性像のイメージが強い教科書のイラスト」などが上がっていました。

 

では、そうした問題をどう解決していけばいいのか。「教育現場でのジェンダーの問題を解決するためには何が必要ですか?」と聞きました。

 

一番多かったのは「学校で授業や専門家の講演などで取り上げること」。「子どもだけでなく親も話すべきだし、別々ではなくみんなでディスカッションするのもいいと思う」など、子どもに加え、親や教師の持つジェンダーへの意識も変えていかなければならないという意見も目立っていました。

 

さらに「いろいろな人がいること、それを受け入れることができる心の広さは幼児期からの関わりや教えが必要だと思う。自分とは違うものを受け入れることを当たり前と思って育つ環境が大切」というコメントのように、互いの多様性を認め合う教育を求める声も多くありました。

 

多様な生き方が尊重される時代になり、従来の固定的なジェンダー観には疑問の声も上がっています。性のあり方にも人によっていろいろな形があり、かわいいものが好きな男性、かっこいいものが好きな女性もいます。個人個人の違いを当たり前に受けいれる柔軟性を作る教育・環境が求められます。

 

職場での女性のパンプス強要を疑問視した「#KuToo」の動きのように、制服も「男性だから」「女性だから」ではなく、自分の好きなもの、心地いいものを選べる社会になることが望まれています。それぞれの個性や価値観を認め合うのが子どもたちのスタンダードとなるように、親である私たち自身がお互いの個性や生き方を尊重できているのか。考えてみることからまず始めたいですね。

 

関連記事:「新時代の学生服は”○○を感じさせない”がスタンダードに?

 

特集TOPに戻る >



取材・文/阿部祐子 イラスト/児島衣里

bottom
©️CHANTO調べ 調査期間:2019年3月5日〜2020年3月14日 調査対象:CHANTOモニター106人