経済的な見通しが立てづらい時こそ、「公的制度」を活用してもらいたいと思います。ただし、公的制度は“自分から申請”をしなければ受けることはできません。つまり、制度を知っているかどうかが大きなポイントに。今回は、コロナ禍で知っておきたい給付金・融資制度をお伝えします。
お金がない時の対策は5ステップで考える
手元のお金が少ない時に請求書が届いたり、支払いの督促があると、焦ってしまいがちです。経済的に不安定だと心の不安につけこむように、簡単にお金が儲かる方法や、手軽に借りられる情報に影響を受けやすくなります。
しかし、それらの話に飛びついてしまうと、かえって損をする危険性は高くなります。お金の不安がある時こそ慎重に、まずは確実な情報を集めることが肝心です。では、お金がなくて困った時の対策を5ステップで考えてみましょう。
ステップ1:支払いを待ってもらう
税金、社会保険料、家賃、電気・ガス・水道代、携帯電話料金、生命保険や損害保険の保険料など、払わなければならない出費は多くあります。
しかし、今回のコロナ禍で収入減などの影響が大きい場合には、支払の猶予を受けられる場合があります。「絶対に期限までに払わなければいけない」と思い込まず、まずは支払い先に相談をしてみましょう。
たとえば、2020年2月1日~2021年2月1日に納期限のある国税は、所轄の税務署に申請すれば、納期限から1年間は納税の猶予が受けられます。
また、東京電力(TETCO)では2020年4月分の電気料金・ガス料金の支払期日を原則として3ヶ月間延長、5月分を2ヶ月間延長、6月分を1ヶ月間延長、という特別措置をしています。
今はコロナ禍の影響で特別な状況。家計のために必要であれば、支払いを待ってもらうことは決しておかしな要求ではありません。各自治体や企業のホームページやコールセンターなどで確認するとスムーズです。
ステップ2:分割にしてもらう
支払うつもりはあるが今は手元にお金がないというケースで、支払い猶予が受けられない場合、分割支払いはできないか交渉することが可能です。
住宅ローンなど各種ローン、クレジットカードの支払いが厳しい時には、延滞をする前に支払い先に相談をしましょう。特に住宅ローンは、金融庁が金融機関に対してローンの条件変更に柔軟に対応するよう、要請を出しています。
金融機関に連絡しないまま滞納を続けると、最悪の場合は住宅が競売にかけられてマイホームを失うことにもなりかねません。たとえ1回だけの滞納でも信用情報に記録が残り、その後の借り入れやクレジットカードなどの契約が難しくなる可能性が高くなります。
住宅ローンの条件変更は、次のようなものが一般的です。
- 返済期間を延長して1か月ごとの支払い金額を減らす
- 一時的な返済猶予
- ボーナス月の返済見直し
金融機関によっては、条件変更に伴い通常必要になる手数料が無料になる場合もあります。相談は各金融機関へ行いますが、 金融庁も相談窓口を設けています。
※金融庁の相談窓口
(受付時間:平日10~17時)
ステップ3:公的な給付金を利用する
ローンなどの支払いが猶予されても、食費や日用品などを買うための生活費はかかります。公的な経済支援としての給付金は、もれなく手続きをするようにしましょう。主なものを見ていきます。
- 特別定額給付金(一律10万円)
世帯主が家族の分もまとめて申請して受け取ります。マイナンバーカードがあればオンライン申請もできるとのことですが、郵送のみの対応にした自治体もあります。郵送での申請は、自治体から送られてくる書面に必要事項を記入して返送します。
ただし、申請の期限は郵送申請方式の受付開始から3か月以内です。手続きは早めを心掛けましょう。
- 住居確保給付金(家賃)
収入減になると家賃の負担が重くのしかかります。離職・廃業から2年以内の方や、休業などにより収入が減少して離職などと同程度の状況にある方に家賃の補助があります。収入などの条件があり、各自治体のホームページなどで確認することができます。
- 雇用保険の基本手当(失業保険)
雇用保険に1年以上加入していた人が離職して、就職できる能力があるにもかかわらず就職できない場合は、基本手当(通称、失業保険)が受け取れます。手続きのためにはハローワークへ来所し、求職の申込をします。
病気やケガなどの事情がある場合は、失業保険の給付要件の「就職できる能力がある」には当てはまらないことになり、給付は受けられません。
しかし、 受給期間を延長することができます。病気やケガを治療して働けるようになっても、失業状態が続いていたら、失業保険給付の申請が可能です。延長の申請は代理人や郵送でも可能なので、当てはまる時には申請を忘れずに。