女子はセーラー服、男子は学ラン。そんな風に学校ごと、性別ごとに決められていた学生服業界に、今、「多様性」のビッグウェーブが押し寄せています。

 

1種類の学生服しか選べないなんて、もはや時代遅れに?

 

令和の新スタンダードとなりうるかもしれない、LGBTQの生徒のニーズにも応える「ジェンダーレス制服」の最新事情をレポートします。

そもそもジェンダーレス制服がなぜ必要?

10代の頃、「あのかわいい制服が着たいから、あの学校に行きたい!」と受験勉強に励んだ人もいるでしょう。学生たちが一日の大半を着て過ごす学生服は、その学校の象徴ともいえるアイテムです。

 

ただし、それは自分の“性のありかた(セクシュアリティ)”に疑問を感じなかった人に限ってのこと。そういった層は数でいえば多数派かもしれませんが、一方で「性別で服を決められることに抵抗感や嫌悪感がある」人もいるのです。

 

LGBTという言葉が普及し、“性のありかた”には色々なかたちがある、ということが今や広く知られるようになりました。LGBTの枠には入らなくても、「女の子だけどパンツスタイルが落ち着く」「足にコンプレックスがあるからスカートは履きたくない」「下着が透ける夏服を着るのが嫌だった」と感じている人だっているはず。

 

学生服や体操着の製造販売を行う大手アパレルメーカー・トンボ株式会社が行った制服に関する最新調査では、実際に学生たちから次のような意見があがっています。

 

1人1人セクシャリティが違うように、スラックスも女子用を履きたいとか男子と一緒がいいとかあると思います。僕の場合は入学した時はスカートしかなくて、苦しかったです。(FtM 21歳)
スカートと、女子用スラックスと、男子と同規格のスラックス(男女兼用という名前で)という3つの選択肢があったら嬉しいです!洋服でも一緒ですけど、レディースを着るのは抵抗ありますけど、ユニセックスを着るのは抵抗ないみたいな…分かりますか?(FtM 21歳)
上着が男女ではっきりと分かれているデザインで、どうしても女子の制服を着用したくなく、パーカーを着ていたが、先生に怒られていた。着崩したいわけではなく、着やすいものを着たいだけ。(FtM 29歳)

※各カッコ内のFtMとはFemale to Maleの略。女性から男性へ性別移行を望む人を意味する。

 

これらの声から見て取れるのは、「選択肢を増やしてほしい」という切実な悩み。性差を感じさせないジェンダーレス制服のニーズは、教育現場において確実に高まっているのです。