咳をする体調不良の保育園児
私たちのような共働きの家庭にとって、子どもが数日間出席停止となる感染症にかかるのは大きなダメージです。

 

園や校内で流行し始めると、我が子の体調はもちろん、仕事の調整も含めてハラハラしますよね。小さい子どもがかかりやすく、鼻・のどに関連する3つの感染症について、2児のママである耳鼻咽喉科医の三塚沙希先生にうかがいました。

 

PROFILE 三塚沙季先生

三塚沙希先生
エムズクリニック白金院長。耳鼻咽喉科専門医。自身も2児のママである経験から、小児耳鼻咽喉科に特に力を入れた診療を行う。公式サイト(http://www.mitsukasaki.jp/)では、耳鼻咽喉科の病気の症状から家庭でできるケア方法など、子どもからお年寄りまで役立つを医療情報を公開している。

 

ウイルスが1か月残る!「咽頭結膜熱(プール熱)」

「咽頭結膜熱」はアデノウイルスが原因で感染する病気です。おもな感染経路は、せきやくしゃみの飛沫感染や、タオルやおむつなどの接触感染。プールの水から感染することもあるため、プール熱とも呼ばれています。

 

年間を通して発生しますが、特に夏に流行することが多く、ヘルパンギーナや手足口病とあわせて“3大夏風邪と呼ばれます。

 

いずれも感染力が非常に強いうえに、夏は高温多湿でウイルスが繁殖しやすく、人間も夏バテで体力が落ちているため、学校や園のクラス内で流行しやすいです。

 

潜伏期間は47日間で、その後39度以上の高熱が5日前後続きます。5歳以下の子どもに多いですが、6歳以上の子どもや大人がかかることも。おもな症状は、発熱、のどの痛み、目のかゆみ・充血・目やになどの結膜炎。なかには下痢や嘔吐を伴う場合もあります。

 

まずは病院で早めに診断を受けることが大切ですが、ウイルスへの特効薬はないため、高熱でつらいときには解熱剤、結膜炎には点眼薬といった対症療法で回復を待ちます。

 

発熱、充血などの主な症状が消失しても2日を経過するまでは出席停止となります。登園・登校の際は医師の許可証が必要です。

 

非常に感染力が強いため、おうちでは兄弟や親など家族間でうつらないように注意が必要です。目やにはティッシュで拭き、ハンカチやタオル、食器類は別々にしましょう。

 

唾液や排泄物にはウイルスが1か月程度残るため、トイレやお風呂、おむつ替えの後はしっかり手を洗って感染対策を。回復には安静が第一です。高熱が続くため、脱水にならないように水分をこまめにとりましょう。

 

のどが痛む間は冷たいゼリーやスープ、豆腐、うどんといったのど越しの良い食べ物がおすすめです。酸っぱい、辛い、熱いといったのどに刺激があるものは避けましょう。

 

登園中はどうする?薬の飲み忘れ厳禁の「溶連菌感染症」

「溶連菌感染症」は、溶連菌が原因で感染する47歳頃の幼児に多い病気です。おもに咳やくしゃみの飛沫感染によって114月頃にかけて流行します。

 

潜伏期間は14日と比較的短く、突然の発熱とのどの痛みから始まります。のどが真っ赤に腫れるのが特徴で、手足や全身に細かい発疹が出たり、舌のブツブツがイチゴのように赤くて大きくなることも。

 

首すじのリンパの腫れや嘔吐、腹痛などが出る場合もあります。風邪と違い、咳や鼻水はほとんどありません。

 

溶連菌感染症と診断されたら、薬を飲めば23日で熱は下がり、発疹やのども痛みも和らぎます。薬を飲み始めて24時間を経過し、全身状態が良ければ登園・登校しても大丈夫です(医師の許可証が必要)。

 

しかし、勝手に服用をやめてしまうと再発したり、急性糸球体腎炎やリウマチ熱を併発する恐れも。確実に菌を退治するために、処方された抗菌薬を必ず飲みきることが大切です。

 

おうちでのケアは、きちんと薬を飲ませることが第一です。保育園や学校へ通い始めて13回の処方薬が昼に飲めない場合は、医師に相談してみてください。

 

生活サイクルを伝えれば毎食後を朝と帰宅後すぐ、寝る前など時間をずらせるかの判断をしてもらえます。ちなみに、風邪のときなどは1日2回に処方を調整できる場合もあります。また、発熱やのどの痛みがあるので、こまめな水分補給とのど越しの良い食べ物を選ぶよう配慮しましょう。