「女の子なのに、戦いごっこが大好きでちょっと不安」「男の子なのに、すぐ泣いてばかりで将来が心配

 

「女の子/男の子らしさ」の壁は、子育中の親が必ずどこかでぶつかる悩みです。でも不安にさいなまれる前に、親である私たち自身が刷り込まれた「○○らしさ」について、ちょっと立ち止まって考えてみませんか? 

 

一女一男を子育て中の筆者が実際に親子で読んできた絵本の中から、「女の子らしさ」の呪いを軽やかに解いてくれたおすすめの3冊を紹介します。

 

塔を出て、プリンセスは冒険の旅へ!

『とんでもプリンセスとドラゴン おわりのないぼうけん』

アンナ・ケンプ:作 サラ・オギルヴィー:絵 たなかあきこ:訳

フレーベル館 1400円(税別)

 

かわいいドレスに素敵なお城。最後には王子様が助けに来てハッピーエンド。そんな古典的なプリンセス物語もいいですが、たまにはお約束を裏切りまくる現代的なプリンセスも見たくありませんか?

 

『とんでもプリンセスとドラゴン』(フレーベル館)の主人公は、高い塔に長いこと閉じ込められ、王子様を待ち続けるプリンセス・スー。

 

「そとにでた~い!」と願うスーのもとへ、ある日、とうとう王子様が現れます。

 

ところが、救い出されて外に出たら、今度は「おひめさまなんだから」と王子様の塔でおとなしく暮らすことを強いられる羽目に。

 

「ほんと、さいあく!」と怒り心頭のスーは、望遠鏡で見つけた「おそろしいドラゴン」に声をかけてみることに

 

ここから始まるスーの反逆、そしてドラゴンとの冒険劇がとにかく痛快。誰かのためでも、世界を救うためでもなく、「わたし」のしたいことを好きにする。受け身のままじゃなくて、自分で行動して運命を切り開いていく。

 

自由でたくましいプリンセス・スーの活躍に、大人も子どもも勇気づけられるはずです。

 

5歳当時、プリンセスに夢中だった娘に読ませたら「えっ!」「ええっ!?」「おひめさまなのにそんなことしていいの!?」と驚きの連続、のち「面白かった!」とおおいに気に入っていました。絵のタッチがほどよくクラシカル、かつかわいいコスチュームもたくさん登場するので、プリンセス好きの女子たちも驚きながらも楽しく物語に入り込めるようです。

 

「プリンセスのお話なんだけど、今まで読んだのとはなんだか違うみたい」

 

子ども心にそんな違和感を少しでも残せたのなら、絵本の役割としては充分。古典的な物語と最先端バージョン、親子で比べながら楽しんでください。