【この記事は、CHANTOママライターによるウェブ限定記事です】

                       

ライター名:しらせゆみこ

 

産婦人科が舞台の医療ドラマ「コウノドリ」。ペルソナ総合医療センターを舞台に、さまざまな問題を抱えた妊婦と綾野剛演じる鴻鳥サクラをはじめとした医療従事者たちの人間ドラマや命の誕生を描いたドラマでした。妊婦や赤ちゃんに自分や子どもを重ね合わせ、私も何度うるうるしたことか……。

 

そのドラマの中でも扱われていた「切迫早産」。私も安静生活や入院を経験しました。今回は、その経験やもし診断された場合どうしたらいいのか?仕事は?子どもは?といったことを書きたいと思います。

切迫早産とは?

早産になりかかっている状態のことを「切迫早産」といいます。子宮収縮が頻繁におこったり、子宮口が開き、赤ちゃんが出てきそうになったり破水した状態のことを指します。

 

切迫早産の治療は、子宮口が開かないようにするために子宮の収縮を抑える薬(ウテメリンなど)を服用します。程度が軽い場合は通院治療で大丈夫なのですが、重くなった場合、入院して点滴治療になります。

 

私の場合

まもなく20週に突入するというとき。いつものように検診にいったところ、医師に「子宮頚管(子宮と膣をつないでいる部分)が短くなっている」と言われ、「トイレと風呂以外は極力横になっていなさい」と……! まさに青天の霹靂です。数日後に軽井沢へ旅行する予定だったので、どうしたらよいか尋ねると失笑されてしまいました。

 

もちろん旅行は泣く泣くキャンセルし、里帰り出産を予定していたので早々に里帰りすることに。夫が近くにいないまま、妊娠後期、出産、産後を過ごすのは心細く不安でもありましたが、こちらで動き回っていて早産になるのは一番避けたいこと。少しでも長くお腹で赤ちゃんを育てるため、20週で里帰りしました。診断されてから3日後のことです。

 

それからは、実家でお世話になりっぱなしの日々。眠くもなく、元気なつもりなのに寝てなければならない。子宮頚管という見えないものと戦うのは、心が折れそうになることもありました。時にわがままを言って困らせてしまう私。親やきょうだい、飼い犬の支えなくしては乗り越えるのは難しかったでしょう。

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定期的な検診では、「子宮頚管が短くなった、より安静を」「少し長くなった、これまでと同じ生活を続けて」の間をいったりきたり。週数ごとの赤ちゃんの成長がわかる本を穴があくほど見ながら、聴覚が完成してる、内臓ができてきた、肺機能が完成したとひとつひとつ乗り越えた気持ちで自分を励ましていました。

 

安静生活もまあまあ慣れ、正期産のゴール(妊娠37週0日から妊娠41週6日まで)も見えてきた34週。検診でいつも穏やかな先生が一変して険しい表情に。

 

「さらに子宮頚管が短くなっています。入院治療が必要です。ここでは対応できないので大きな病院を紹介します。その病院でそのまま出産もありえます」

 

ここまで安静生活頑張ってきたのにー!と思いましたが、赤ちゃんが大きくなってきて子宮頚管に負担がかかっていたのでしょう……。そこからは入院生活に突入しました。

 

ほぼベッドで寝たきり。点滴は24時間つけっぱなし。針の差し替えの痕もいっぱいつきました。点滴や内服薬の副作用は少しありましたが(動悸や手の震えなどです)、幸い軽かったです。シャワーもほとんど入れず体を温タオルで拭くだけ。背中を拭いてもらったり着替えを手伝ってもらったりしたこともあって、一気に老け込んだ気がしました。

 

そんな中でも、身内からの差し入れを楽しみにしたり、赤ちゃんが産まれてからの部屋のレイアウトやお祝い返しを考えたり、同じ病室の切迫友達と身の上話を話したりして気分転換になることもありました。毎日回診やNST(ノンストレステスト)があるので赤ちゃんの様子が分かるのも安心でした。

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いよいよ正期産に突入し、お腹の張りも落ち着いていたので退院させてもらえることに。 そこからは今までの時間を取り返すかの如く産前に行きたいランチに行ったり、友人に会ったりしました。そして38週0日に何事もなく娘を出産することができました! 安産でした。

気をつければよかったと思うこと

  • 骨盤ベルト(トコちゃんベルトなど)を真面目にしていなかったのを後悔しました。切迫早産の一因として骨盤がゆるんで赤ちゃんが下がってくることが挙げられます。ゆるんだ骨盤をベルトで支えていたら、もしかして入院まではいかなかったかも?と思います。
  • 親が何事もなく出産していたので、私も大丈夫だろうとたかをくくっていました。多少無理したり重いものも持っていたと思います。妊娠出産は人それぞれ。「自分は大丈夫」「自分の子は大丈夫」は決してないのだと実感しました。出産は本当に奇跡のたまものです。
  • もっと骨盤底筋を鍛えておけばよかった。骨盤底筋とは骨盤の底にある筋肉で膀胱、子宮、直腸を支えている筋肉です。ここが緩んでいると、赤ちゃんを支えきれずに子宮頚管が短くなることもあるとか。現代の女性は運動不足で骨盤周辺の筋肉はかなり弱っているそうです。私も例にもれず運動不足。将来の尿漏れ、頻尿などのトラブルを避けるためにも、運動をしっかりしたり骨盤底筋を鍛えておけばよかったと思います。

もし上の子がいたらどうする……?仕事は?

私の場合は一人目だったので、安静指示が出ても日中は寝ていれば済みました。上のお子さんがいたら、ずっと寝ているわけにもいきませんよね。周囲にサポートを求めることも必要になってきます。

 

保育園のお迎えをパパや祖父母、ファミリーサポートさんにお願いするとか、食事は宅配弁当や作りおき、買い物はネットに頼るなど極力横になっていられる環境を作ります。私の切迫友達には里帰り先で保育園に入れている人もいました。

 

精神的な上の子への支えとしては、おうちの中での遊び方を工夫して外出しなくても済むようにしたり、抱っこはできなくても抱きしめる回数や「ママは○○が大好き」「ありがとう」などの声かけを多くしたりするといいようです。もちろん、パパや祖父母の負担も大きくなってくるので感謝の気持ちを口にすることは大事ですね(こっちも辛いんだぞー!という思いはちょっと飲み込んで……)。

 

仕事は私の場合、自宅作業に切り替えたのち早めに休職しましたが、難しい人も多いと思います。一子目のときに切迫早産になった方は、万が一に備えて切迫早産になった時は仕事の引継ぎをどうするか考えたり、引継ぎ資料を作っておくとよいかもしれません。思いがけない休職は仲間たちに申し訳ない気持ちにもなってしまいますが、どのみち引継ぎは産休をとる際に必要です。お腹の赤ちゃんを守るのは自分しかいない!という思いで乗り切りましょう!

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元気な赤ちゃんに会えますように……!