家庭の出費の中でも多くを占める「食費」。外出自粛中に「数少ない楽しみ」ということで食費が増えてしまい、今もそのまま…という人もいるのではないでしょうか。
「気持ちはわかりますが、貯蓄や他の支出にお金を使うためには、食費を使い過ぎないことが大切」と話すのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。
そのためには、支出に占める理想的な食費の割合を知り、それにできるだけ近づけるよう、出費をコントロールすることが大切だといいます。理想的な食費の割合や食費を抑えるコツについて、お話をお伺いしました。
PROFILE 横山光昭さん
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は23,000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
2万件以上の家計相談でわかった理想的な「食費」の割合
私が経営しているマイエフピーでは、これまで23,000件以上の家計相談を受けてきました。そこから「理想的な家計の支出の割合」を導き出していくと、食費の割合は家族構成によっても異なりますが、おおむね「手取り月収の12~15%」です。
たとえば、夫婦と小学生未満の子どもが2人いる家庭の場合は、お子さんの食べる量が少ないはずですから「12%」が目安です。世帯の月収が40万円だとしたら、1か月の食費は4万8000円以内に抑えるのが理想的ですね。
子どもが中学・高校生の場合は、とにかく食べる量がハンパではありません。12%では収まりませんが、理想的には15%にはとどめたいところ。最大でも17%台が限界です。これ以上使っているようだと、支出における食費の割合が多過ぎます。その分、貯蓄や教育費などに十分なお金を回せなくなってしまいます。
現状と照らし合わせてみて、使い過ぎているようなら食費を節約することをおすすめします。あくまで理想なので、ちょっと厳しい数字かもしれませんが、できるだけ近づくように努力してみてください。
「週の予算」で考えるとやりくり上手になれる
食費を抑えるためのポイントは、まず、「予算をきちんと決めること」です。ポイントは、1か月ではなく「1週間の予算」を決めること。
理想の支出の割合から導き出した食費の予算が「月5万円」だとしたら、5週間で割って、「1週間で1万円」というように、週に落とし込みましょう。
こうして短いスパンで予算を管理した方が、「あとどれだけ使えるのか」がわかりやすくなり、使いすぎを防ぎやすくなります。「今日3000円買ったから、今月はあと4万7000円で抑えよう」よりも、「今日3000円買ったから、今週は残り7000円でやりくりしよう」の方が、わかりやすいはずです。
また、「食費専用財布」を用意するのもおすすめです。買い物に行く時には、1週間分の予算額だけしか入れないようにします。すると、そのお金の中でやりくりするしかなくなるので、自然と買い物を工夫するようになります。
節約をするには家にある食材をきちんと把握し、ムダにしないことも重要です。買い物の前に冷蔵庫内を確認する習慣をつけしましょう。冷蔵庫のドアにレシートを貼り、使った食材を消していくだけでも、食材の有無を簡単に把握できます。
徐々に食費を減らせばリバウンドしない
あとは、「ムリをしないこと」も大切です。急に食費を減らすと、必ずリバウンドします。以前、3人家族で食費を月8万円使っている相談者の方に、使い過ぎを指摘したところ、次回の相談時に、半分の月4万円近くまで削ってきたことがありました。
なぜそこまで減らせたかと言うと、単純に食べる量を減らしたから。しかし、家族から大ブーイングだったそうです。これでは不満がたまり、長続きしません。
大切なのは続けること。そのためには極端なことをせず、少しずつ予算を削ることが重要です。月8万円を食費に使っているなら、「今月は7万円」「来月は6万5000円」というように、徐々に減らしていけばムリなく節約を続けられるでしょう。
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文/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ