家族や自分が病気にあったとき、みなさんはどのような基準で医療機関を選びますか?  近所のクリニックを受診する方もいれば、大きな病院の方が安全だと、大学病院などへの受診を考える方もいるでしょう。 正しい受診行動をしていただくために、医療機関の理想的な「使い分け」について、医師が詳しく解説します。

かかりつけ医は「近所」のほうが良い理由

 

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医療機関には様々なタイプがありますが、実のところそれぞれ担うべき任務は異なっています。 自身の身体の状態に適さないタイプの医療機関を受診すると、適切な治療が受けられないだけでなく、医療機関を混乱させてしまうこともあるので注意が必要です。

 

まず、ちょっとした風邪や腰の痛みなど、明らかに高度治療が必要でない症状では「かかりつけ医」で診てもらうことをおすすめします。 かかりつけ医とはその名の通り、高血圧や糖尿病など継続した治療が必要な持病の、定期的な健康診断や薬の処方、風邪など軽度な不調が生じたときに受診する医療機関のこと。 特定疾患(難病)に指定されている病気など、高度な専門知識を持った医師の診療が望ましいケースを除いて、かかりつけ医を選ぶときは、自宅や職場から近く通いやすい医療機関が理想的です。 またいくら近所だからといって、大学病院などの大病院を選ぶのはNG。かかりつけ医としての対応は、一般的なクリニックで十分できます。

 

「大きな病院の方が安心」と考える方がいるのも事実です。ですが医療機関にはそれぞれ役割があり、クリニックは「軽症な患者さんを診る」のが役割である一方、大学病院などは「そこでしか検査・治療が困難な、専門的で高度な医療を行う」のが役割です。 人員が限られた大学病院に軽症患者さんが多く受診すると、パンク状態になってしまい医療現場の混乱を招きます。それを防ぐためにも、かかりつけ医は特殊な場合を除いて、近所のクリニックを選びましょう。