楽しくお酒を呑んでほろ酔い気分で家路についたものの、電車やバス、タクシーなどの乗り物に乗ると強い吐き気に襲われた…こんな経験がある方は少なくないはず。 乗り物に乗ることで「一気に酔いが回る」のはよくあることですが、いったいどのような仕組みで起きるのでしょう? 飲酒後の乗り物で吐き気を覚えやすい原因と、気をつけておきたい対処法について詳しく解説します。
ほろ酔い気分だったのに…乗り物で気分が悪くなる理由
アルコールに対する強さは人によって異なりますが、「ほろ酔い」の状態は気分が高揚するもの。通常であれば帰宅などに問題はなく、次の日も二日酔いに悩まされることはまずないでしょう。 しかし、飲んだ後は「ほろ酔い」だったのに電車やタクシーなどの乗り物を利用したとたん、「急に酔いが回る」ことは決して珍しいことではありません。 どうしてこういういったことが起こるのでしょう?
「酔ったときの吐き気」は脳の反応
過剰なアルコールを飲んだときに吐き気を覚えるのは、実は脳の反応によるものです。 脳には「嘔吐中枢」と呼ばれる、吐き気や嘔吐を引き起こす働きのある部位が存在していることがわかっています。 そして私たちの体には、血液中のアルコール濃度が上昇すると、この嘔吐中枢が刺激を受ける仕組みが備わっているのです。 過剰なアルコールは体内で分解されるのに時間がかかります。そのとき体内には、アルコールを分解する過程で生じるアセトアルデヒドなどの有害な物質が蓄積することに。 お酒の飲み過ぎによる吐き気は「もうこれ以上は飲まないで!」と、身体が悲鳴を上げているサインとも考えられます。
アルコールは「乗り物酔い」を引き起こす?
吐き気の原因はアルコールだけではありません。身体の平衡感覚を司る、耳の中の「三半規管」の異常もそのひとつです。 よく見られる症状である「乗り物酔い」は、この三半規管の機能が一時的に低下することによるもの。お酒を飲みすぎると三半規管の働きも鈍くなるため、「乗り物酔い」が起こりやすくなるのです。 お酒を飲んで嘔吐中枢が刺激された状態では、ただでさえ吐き気が起こりやすいため、乗り物酔いと相まって強い嘔吐感などを引き起こすことも珍しくないのです。