「日本の日常生活のハードルって、ものすごく高いのでは?」そんな気付きを描いた漫画が、Twitterでバズりました。

 

漫画を描いたのは、イギリスが大好きな漫画家・竹内絢香さん。2019年から、自分が日常的に考えていることをテーマにした「日々の考え漫画」を、ポップなイラストとユニークな視点で毎週木曜日にアップしています。

 

イギリスで友人宅でのディナーに招かれたエピソードから、竹内さんが感じたこととは――?

 

竹内さんの漫画「日本で暮らすハードルについて考えたこと」

Twitter上にアップされ、3.6万RT、11万いいねの大きな反響が寄せられた漫画が、こちら。

イギリスで見たおおらかな暮らし方と、細やかで快適な日本の暮らし。その両方を経験した竹内先生にお話を聞いてみました!

“普通の生活”の基準が見えにくい

──漫画では、イギリスと日本どちらも否定することなくそれぞれの特徴が描かれています。この漫画を描かれたきっかけは何でしょうか?

 

竹内さん:

漫画の冒頭でのエピソードは、2017年、私がロンドンに1カ月取材で滞在していた時の話です。現地に住んでいる友人から『うちで夕飯ご馳走してあげる!』と言われ、手料理を期待していったら起こった出来事をきっかけにこの漫画を描きました。

 

──「友人を招いた際の手料理」が「焼いた冷凍ピザ」でもOKというイギリスの考え方、ハッとさせられますね。日本だと「おもてなししなくちゃ!」とつい張り切ってしまう気が…。

 

竹内さん:

もちろん、イギリスにもおもてなしの気持ちはありますし、手の込んだ料理をごちそうしてもらった経験もたくさんあります。ただ、この冷凍ピザは、「料理すること」への捉え方が日本とは少し異なるのかなと感じた一つのきっかけでした。 ──日本で暮らしていると、気付かないうちに日常生活のハードルを上げてしまう人が多いように思います。

 

竹内さん:

私自身も、海外で暮らしてみて初めて違いを知ることが多かったです。今はインターネットで何でも調べることができますよね。でも、日常生活は「普通」であるがゆえに見えにくいのではないでしょうか。

 

そもそも、日本では生まれたときから、基本のハードルが高く設定されているように思います。例えば、おかずをたくさん作る、洗濯物は一つ一つハンガーにかけて丁寧に干すといった家事を、日本の文化では「当たり前のこと」ととらえている気がします。

 

──たしかに…。無意識のうちに理想を高く掲げてしまい「仕事も、家事も、育児もプライベートも!」と頑張りすぎてしまう女性も多いですね。

 

竹内さん:

無意識だから、そもそもそのハードルが高いかどうかに気づけないんですよね。

 

もちろん、日本のように暮らしや仕事のハードルを上げることは別に悪いことではないと思うんです。メリットもたくさんあると思いますよ! なんといっても、丁寧に暮らすと快適です。

 

毎日栄養バランスがとれた食事をとり、ピカピカの家に住んで、“最高にきれいな私”で働ければ、楽しい毎日になるのは間違いないですよね。私もそうありたいと強烈に思います(笑)

 

ただそれをスタンダードにしてしまうことには、注意が必要だなぁと感じています。達成できなかった場合に、自分や他者を攻撃してしまうことにもつながるので。