最近、身近で耳にする機会が増えた「二人目不妊」。不妊治療を経て一人目の子を授かった方もいれば、一人目の子を順調に授かったのに、なかなか二人目ができない…こんな悩みを抱える方も多いとされています。「二人目不妊」の現状について、医師が解説します。
「二人目不妊」は増加傾向
第一子を授かったのだから、二人目、三人目も希望すれば当然授かる…こう考える方は多いでしょう。 しかし近年、第一子を問題なく授かったカップルでも、なかなか二人目ができないという「二人目不妊」に悩んでいるケースは増えているとされています。 大阪府不妊専門相談センターの調査(平成25年実施)によれば、全相談件数の16.4%は「二人目不妊」に関する内容だったとのこと(※1)。
二人目不妊に悩む方の中には「一人目がいるのにぜいたくな悩みだ」「一人目に愛情を注ぐべき」などという周囲の声が壁となり、悩みを抱え込むカップルも多いと考えられます。 このため、実際に「二人目不妊」問題を抱えるご家庭は、上記の調査結果よりも多いと言ってよいでしょう。 近年では「二人目不妊専用外来」を開く医療機関も増えてきており、医療の場でも「二人目不妊」を積極的に治療しようとする動きが広まっています。
自然妊娠できる可能性は歳とともに低下する
二人目不妊の原因はさまざまですが、近年二人目不妊に悩む方が増えている背景のひとつに「晩産化」の影響があると考えられます。 厚生労働省による人口動態統計によれば、第一子出産平均年齢は年々上昇し、2015年には30歳を超えたとのこと。さらに、第二子の平均出産年齢は2017年には32.6歳に上っています(※2)。
一方、女性が自然妊娠できる可能性は、年齢を重ねるごとに徐々に低下していきます。原因としては、年齢を重ねることによる卵子の老化、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。 一人目を順調に授かったとしても、年齢が上がればなかなか次の妊娠ができなくなることは珍しくないのです。 その他、出産による子宮のダメージ、産後のセックスレス、生活習慣の乱れなども二人目不妊の原因となります。育児や家事で慌ただしいなか、睡眠不足や食事の偏りなど生活が乱れがちになる方も少なくありません。 このような生活の乱れは、性周期の乱れにもつながります。二人目を希望する場合は、まず生活習慣を整えることから始めましょう。
産婦人科受診の目安は「半年以上」
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女性が妊娠できる確率は年を重ねるごとに低下していきます。不妊治療は、より若い頃から始めるぶんだけ、成功しやすいことが分かっています。 「一人目がいるからまだまだ大丈夫!」と思わず、二人目の妊娠を計画して、半年以上叶わないときは産婦人科に相談することをおすすめします。 「すぐに二人目を!」と希望していなくても、そのうち欲しいと考えているなら、産後1年をめどに基礎体温を記録し、定期的な排卵が起こっているかを調べてみましょう。
(※1)大阪府不妊専門相談センター「情報を集める」
(※2)内閣府 「晩婚化、晩産化の伸展」
文:成田亜希子