子どもに乳歯が生えてきた…と思ったら、2本がくっついている。「癒合歯」というこの症状は、子どもの約30~40人に1人に見られ、決してめずらしいものではありません。「癒合歯」に必要な処置と対処法、永久歯への影響を歯科医師が解説します。
歯がくっついて生えるのはどうして?
歯が生えるときは、歯胚
(しはい)という「歯のもと」が顎の骨の中で育ち、順番に「乳歯」として生えてきます。 その成長過程で、隣り合った歯がくっついて生えてくることを「癒合歯(ゆごうし)」といいます。 組織学上では歯の結合状態によって「癒着歯」「癒合歯」「双生歯」の3種類に分類されますが、臨床上では総称して「癒合歯」と呼んでいます。 癒合歯の発現率は、1.99~4.10%と言われています(※1)。つまり30〜40人に1人が発生しているということで、決して稀な症状ではありません。実際、筆者の病院に来る子どもにもよく見られます。
癒合歯は、乳歯の前歯、特に下の前歯によく見られます。具体的には、以下のような部分がくっついていることが多いといえるでしょう。
●下顎乳中切歯(真ん中の前歯)
●乳側切歯(真ん中から2番目の前歯)
●下顎乳側切歯(真ん中から2番目の歯)
●乳犬歯(真ん中から3番目の歯)