「嘔吐」は子どもによく見られる症候のひとつですが、「急性胃腸炎」など一部疾患を除いて、現在のところ統一されたガイドラインは作成されていません。子どもの年齢別に起こりやすい嘔吐を伴う疾患と、一般的に小児科医が推奨する受診のタイミングについて、小児科医が解説します。

 

 

子どもの嘔吐で考えられる主な原因

 

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子どもが急に嘔吐したとき、その多くは急性胃腸炎に伴う症状です。しかしそれとは別の、気をつけなければならない疾患である可能性もあります。子どもの年齢ごとに、症状と注意点をまとめます。

●新生児期 (生後28日まで)

新生児の場合、まずは哺乳方法やゲップの問題による嘔吐が多いとされています。 しかし、出生後から数日のうちに病的な嘔吐をきたす疾患を発症することや、ミルクに対するアレルギーの可能性も考えなくてはいけません。 新生児早期に嘔吐を繰り返した場合には、速やかな精査が必要となります。自宅で様子を見るようなことはせず、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。

 

●乳児期(生後1年まで)

離乳食を与える頃になると、正常な腸管が別の腸管に滑り込んでしまうことで消化管の閉塞と阻血を引き起こす「腸重積症

(ちょうじゅうせきしょう)」を発症する可能性も増えてきます。 嘔吐症状に加えて、10~15分ごとに激しく泣いた場合や、粘血便が出現した際には、必ず小児科へ受診して下さい。

 

●乳幼児期・学童期

保育園や幼稚園、小学校に通っている場合、周囲に流行があれば、まずは「ウイルス性胃腸炎」を考えます。 また嘔吐に加えて、意識障害や痙攣、麻痺などの神経を伴う場合には、「脳腫瘍」などの可能性もあるため、CTMRI検査を実施する場合もあります。