近年ではずいぶん少数派になった3世代同居世帯ですが、夫の義父母と同居しながら育児をしている働くママも一定数います。

 

好きで結婚したはずの夫にさえイライラすることがあるのに、基本的に他人である義両親との同居、なかでも子育てに関わることはストレスの連続…という人も多いでしょう。

 

今回は同居育児をしているママを中心に、育児にまつわる義両親(とくに義母)からの口出しで嫌だったことを中心に体験談を聞かせてもらいました。

 

「これでなんとかやっています」「こんな同居育児ならOK」という声も紹介していますので、ぜひ参考にして下さいね。

 

同居育児ママに聞く「一番嫌なこと」とは?

今回は、働きながら夫の両親(または義父・義母のみ)と暮らしているママたちに同居育児の体験談を聞かせてもらったところ、「一番嫌だったこと」として次のようなものがあげられました。

 

ストレス原因、ワースト1位はやはり「育児への口出し」

義父母と意見が合わないとき、自分1人ならなんとかやり過ごせることも、子育てがからんでくるとスルーできないのがやはり最大のストレス…という声が圧倒的でした。

 

なかでも、

 

「夕食前に子どもがお腹すいたーとゴネると、お菓子や果物を与えてしまうんです。ストレートに注意するとカドが立つので結局子どもを叱る形に…。私が悪者になっても、子どもの健康や食習慣がちゃんとする方がだいじなのでいいんですけど、なんとなく釈然としません」(Nさん・32歳・7歳児と5歳児と2歳時のママ)

 

「祖父母が甘いものをすぐ与えるので、なかなかごはんを完食できないです。私も残業でお迎えをお願いしたりする負い目もあり、また強く言うと議父母が機嫌を損ねるので時々しか止められず…そのためかどうか、子どもは偏食で、保育園の給食もよく残しましたと言われます。もし私が1人で育てていても、もしかして同じだったかもしれませんが、少なくとも祖父母のせいで…と恨めしく思うことはなかったなと」(Hさん・34歳・2歳児のママ)

 

という、祖父母が子どもに時間構わずお菓子を食べさせてしまうことへの不満が特に多くあがりました。

 

泣いたりごねたりする子どもに、時には気長に言い聞かせる忍耐力も育児には必要ですが、祖父母世代にはなかなか難しいようです。

 

また、しつけの途中で口出しされることにも不満を感じている人が多くいました。

 

「泣いてもわめいても、ダメなものはダメ…と言い聞かせているのに、がまんできずにほらもういいじゃないと割り込んでくる義父母。子どももこれ幸いと逃げていくし。本来なら、とことん泣いて納得してくれたらギュッとしてお互い笑顔に戻りたいのに、いつも消化不良で、子どもとの信頼関係も損なわれている気がします」(Tさん・31歳・4歳児のママ)

 

「いま育休中なのですが、産後少し体調が悪かったので義母がよく娘を抱っこして2世帯住宅の1階に連れて行ってくれました。それには感謝していますが…私が回復しても、授乳が終わったら1階に連れて行ったり、静かだなと思ったら黙って連れ出していたりで、育児の主導権が義母にあるように感じてしまいます。子どもとの一体感も薄れているような…」(Sさん・33歳・0歳児のママ)

 

そして、お子さんの発達で気になる部分がある場合、事態はもっと悪化することも。

 

「義母の友人に同年齢の孫がいる人がいて、その子と比べると息子は立つのも歩くのも遅く、まだことばもあまり出ていません。それが気になって仕方ないらしく、先日は私が35歳過ぎての出産だから問題があるのではないか、いつまでも仕事してたから…等と言ってきました。発達には個人差がありますし、もし何か障害があったとしても息子は息子。義母が友人と張りあうための道具やアクセサリーではありません」(Fさん・36歳・2歳児のママ)

 

やっぱり他人は他人。気を使って疲れる…

また、「夫がいない時間帯に義父母と過ごすのは気を使う」という声も、育休中で家にいる時間が長いママを中心に聞かれました。



「長女の出産時は、夫の転勤で親子3人で暮らしていました。それはそれで大変でしたが、息子が生まれる前後に夫が転職して地元に戻ることになり、以前から予定していた二世帯住宅にリフォームして同居。覚悟はしていたものの、やっぱり気を使いますね。新生児が寝たら私もボサボサ頭でパジャマで横で仮眠したいけど、義父もいるのでやはり身なりを整えなきゃいけないし、あまり休息できません」(Iさん・37歳・4歳児と0歳児のママ)

「子ども見てもらえていいよね~」でもないママは意外と多い

なかなか自分から宣伝するわけにもいかないので目立ちませんが、「3世代同居で助かってる!」というママももちろん大勢います。

 

しかし、それ以上に、同居でも「子どもを預けられていいよね」とも限らない人もかなり多そうです。

 

「いまぐっすり寝ているから、銀行に行くあいだだけ見ていてほしい…という時、義父母はたいてい出かけています。前もってお願いしてみたこともありますが、お昼寝の時間が日によってずれるので、その日は運悪くぐずってしまい途中で呼び戻されました」(Mさん・34歳・0歳児のママ)

 

「見ておいてあげるよーとは言ってくれるのですが…以前、縁側から1歳の子どもが庭へ出て行ったことに気付かずテレビを見ていて。転んだ泣き声で知ったそうで、もし道路まで出ていたら…と思うとぞっとしました。それ以来、いくら同居の親でも安心できない相手に預けるのは怖すぎてできません」(Rさん・32歳・3歳児と1歳児のママ)

 

「夫が頼りない、味方になってくれない」も辛い

同居育児のストレス度は、夫の存在感によってかなり大きく変わります。

 

少なくとも育児方針では夫婦の意見が合っていてほしいですね。

 

「いま、息子は絶賛イヤイヤ期なんですね。私は叩いて黙らせるのとかは違うと思っていて、できるだけ話して聞かせるのですが、小1時間駄々をこね続けることもあります。保育士さんは、みんなこの時期はそうよとなぐさめてくれるのですが、夫はお前が甘やかすからじゃないのかと言うし、義父母も夫を叩いて育てた!と言ってくるので、家の中で私だけ方針が違う感じになってしまいストレスMAXです」(Oさん・36歳・2歳児のママ)

 

また夫が親に対して依存心が強いと、金銭的にも家事育児についても「色々やってもらえばいいじゃん」となりやすく、お世話になったかわりに何事も強く言えない…と悩むママは多いようです。

 

「こんな同居育児ならOK」という体験談も

あまり表には出ませんが、もちろん同居育児でうまくいっている人もたくさんいます。

 

ただ、それは義父母の人柄・夫の主体性・相性などが揃った場合に運良く成立するよう。

 

そんな数少ないママの声を集めてみました。

 

「義父は足が悪く義母はまだパートに出ているので頻繁にはお願いできませんが、上の子の参観や行事はたいていパートを休んで下の子を預かってくれます。日常でしつけや叱り方を指摘されることはもちろんあって、その時はやはりムッとしますが、がまんできる範囲なので大人の対応をしています」(Gさん・35歳・5歳児と2歳児のママ)

 

「定年した義父母が元気だったおかげで、私も看護師として夜勤ありのフルタイムで復帰できました」(Yさん・38歳・小4と小1のママ)

 

「同居にあたり私が一番心配していたのは、手を抜きたいときに抜けないことでした。なので、夫にもそれが一番ストレスだと相談して、基本的に食事は別にしてもらいました。週末は今日はどうする?とお互い予定を聞いて、義父母の方で一緒にごちそうになることもありますが、平日は仕事が忙しすぎたら冷食も活用しています!」(Jさん・37歳・小3と5歳児のママ)

 

「私自身が3世代同居でした。母は見えない部分で苦労もあったのかもしれませんが、私は祖父母から習字を習ったり一緒に遊んでもらったりして楽しかったし、お年寄りを大切にする心が育って良かったと思っています。夫は若く両親を亡くしているので、もし健在で同居していたら、子どもたちにとってどうだったんだろう…とふと考えます」(Kさん・30歳・3歳児と1歳児のママ)

 

その他、同居育児がうまく行っているケースでは、事前に描いている親世帯と子世帯のイメージのズレができるだけ少なくすむようにすり合わせできた人が多い印象でした。

 

「同居育児」を国がおすすめって本当?

2015年、政府は、少子化を改善するための施策の1つとして「3世代同居」を支援すると発表。同居のための新築・リフォームへの補助金や税金免除、親子が近くに引っ越した場合の公営住宅家賃補助などを打ち出しました。

 

親世代との同居が多い山形県(30.5%)や福井県では、約7割の子育て女性が職についているのと比べ、同居率が低い兵庫県や神奈川県では4割程度にとどまっていることを理由にあげています。

 

しかし実はこれには色々と疑問の声もあります。

 

「足りていない社会的リソースを、各家庭に負担させるためのものでは?」

 

という声も。

 

たしかに、3世代同居により祖父母世代が足りない保育園の役目を担い、息子娘世代が介護を引き受け、母親が働きに出ることで労働力不足も解消できる…という見方もできます。

 

「同居世帯の方が核家族より出生率が高い」というデータも示されていますが、社会全体が抱える問題を各家庭の自己責任にして先送りするだけでは根本的解決につながらないため、支援と同時に、同居の有無に関わらず安心して子どもが産める社会づくりを進めてほしいところです。

 

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おわりに

少ないように思えて筆者の周囲にも意外と多い同居育児のママ。

 

親世帯に感謝する部分はありつつ、やはりプライバシーのなさや、夫が親世帯の意見に流されがちなことなど、不満は色々とあるようです。

 

そしていつかは自分が親世帯になることも念頭において、自分なりの理想的な親子の距離感を考えておきたいですね。

 

文/高谷みえこ

参考/一億総活躍国民会議「平成28年版少子化社会対策白書 概要版」

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2016/28pdfgaiyoh/pdf/column07.pdf

「希望出生率1.8をいかにして実現するか」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/iken_koukankai/dai3/siryou5.pdf