秋冬になると必ず目にする、ウイルス感染症流行のニュース。とりわけ話題になりやすいのが「RSウイルス」と「インフルエンザ」です。インフルエンザに関しては広く知られていますが、RSウイルスについては、どんなウイルスで、どの程度危険なのか、わからない人も多いのではないでしょうか。


そこで、RSウイルス流行の傾向と対策、そして子どもがかかったときの正しい対処法について、小児科医の金子光延先生にお話を伺いました。

 

<取材協力>金子光延先生(小児科医・医学博士)
1960年東京都生まれ。1986年産業医科大学医学部卒業後、同大学病院小児科勤務、横浜労災病院勤務、静岡赤十字病院小児科副部長を経て、2002年にかねこクリニックを開院。新米ママ、新米パパにもわかりやすい病気の説明、予防法のレクチャーに定評があり、多くのママ、パパから信頼を集める。著書に『よくわかる、こどもの医学』(集英社新書)、『こどもの感染症―予防のしかた・治しかた』(講談社)などがある。2020年1月に『保育園&小さな子どものいる家庭での食物アレルギー 事故を防ぐためコレだけは』(かもがわ出版)を上梓予定。

 

じつは身近な「RSウイルス」毎年流行する


 

RSウイルスとは、〝Respiratory Syncytial Virus〟の略。毎年、秋から冬にかけて流行を見せ、多くの子どもが感染するウイルス。「2歳までのあいだに、9割の子が感染する」という報告もあるほど、じつは身近なウイルスなんです。 その流行はいつごろで、何に気をつけたらいいのでしょう?

 

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「〝今年の流行は…〟なんてよく報道されますが、実際は毎年流行ると思っておいたほうがいいですよね。

ウイルスの流行を正確に読むことは専門家でもできませんし、〝今年は流行る〟といわれてみんなが対策をとれば、実際にはたいして流行らなくなるわけで。

流行そのものに大きな意味はないと思います。例年、秋冬になれば流行るものと考えて、うがい、手洗い、マスクの着用を徹底するのがいちばんの対策です」(金子先生) 

おおよその傾向としては、RSウイルス流行のピークが10〜11月頃。真冬になり、本格的に冷え込んでくると、RSウイルスの代わりにインフルエンザウイルスが蔓延し、RSウイルスへの感染は自然と減ってきます。