子育てしながら働いていると、子どもが体調を崩して急に保育園に迎えに行かなければならなかったり、予防接種を受けるために少し仕事を早く切り上げなければならなかったりすることって、たくさんありますよね。

 

そのたびに有給休暇を使うことになりますが、1時間早く上がれば済むのに、有休が半日単位でしか取得できない企業も。もう少しフレキシブルにできないものか…と感じている人は少なくないのではないでしょうか。

 

実は労使協定を結べば、有休を時間単位で取得できると労働基準法で定められているんです。 1年に5日分が限度にはなりますが、子育て世代はもちろん働く人の多くにとって、時間を有効利用できる制度なのではないでしょうか。 一方、厚生労働省が行った2017年の就労条件総合調査では、この制度を導入している企業は18.7%にとどまっています。

 

導入した企業ではどのように運用され、どういった効果を感じているのでしょうか。 今回CHANTO WEBでは、2015年からこの制度を導入し、子育て支援にも力を入れている花王株式会社の本社を訪問。 人財開発部門D&I推進部の荒川真理子さんに話を聞いてきました!

会社から「育児は夫婦で協力」のメッセージ投げかけ

花王・人財開発部門D&I推進部の荒川真理子さん

──まず、花王ではどのように子育て支援に取り組んでいるか教えてください。

 

荒川さん

育児と仕事の両立支援に関しては、1980年代から女性向けメインでスタートしています。女性の母集団を増やし、就業を継続してもらう、ということですね。その後1990年代から男性の育児参画について意識し始め、2000年代からは男性もターゲットにした取り組みを展開し始めました。 現在は男性女性関係なく、希望する人が主体的に育児に参画できるよう、風土づくりや制度の見直しを行っています。

 

──男女関係なく育児ができる環境というのは、核家族や共働きが増える中で非常に重要だと思います。どんな制度や取り組みがあるのでしょうか?

 

荒川さん

子育て中に使える制度としては、就業の開始・終了時刻を2時間の範囲で繰り下げ・繰り上げることができる時差勤務や短時間勤務、看護のための休暇などがあります。2018年7月からは在宅勤務も可能になりました。 当事者向けには、パパママ社員による懇談会、座談会や仕事と育児の両立に関するセミナーなども開催し、「育児は父親と母親が協力してやるものですよ」というメッセージを投げかけています。

 

──会社から働きかけてもらえると協力を意識するきっかけになりそうですね。特に男性に対してはどのようなアプローチをしていますか?

 

荒川さん

例えば、男性社員からお子さんの出生の届け出があった時点でリーフレットを配って仕事と育児の両立を促しているほか、育児休業については、上司から「いつ取るの?」と取得を前提とした声掛けをお願いするようにしています。 先に紹介した懇談会、座談会やセミナーへの男性の参加も徐々に増えています。「子育ては母親」というイメージで頑張ってきた女性にとっても心強いと思いますし、いい流れだと感じますね。