左利きを矯正する影響


 

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利き手が決まる理由については様々な説がありますが、現在最も有力と考えられているのが「脳の仕組みの違い」によるものです。 このため現在では、無理に左利きを矯正すると、脳の機能に混乱を引き起こす可能性があり、子どもの発達によくないこともあるとされています。 具体的にどのような影響が出るのか見てみましょう。

 

●学習や書字の障害

左利きの矯正では、字を覚える過程で右手で書くよう矯正するケースが多いことと思います。 このように無理に字を書く利き手を矯正しようとすると、左右対称のいわゆる「鏡文字」を書く「鏡像書字」と呼ばれる障害が生じることも。 また、字を書くこと自体に苦手意識が芽生えることで、将来的な学力や注意力の低下などが生じる可能性も少なくありません。

 

●強いストレス

利き手は生まれつきのもの。矯正は大きなストレスとなることもあり、どもりや夜尿症の原因となることも少なくありません。 その結果、集団生活に支障が出るばかりでなく、安ぎの場である家庭にストレスがあることで、健全な心の発育にも悪影響を及ぼすことが考えられます。

 

 

現在では「利き手を矯正しない」という考え方が一般的です。しかし、ハサミなどの道具も左利き用のものを用意しなければならないなど、不便さを感じる場面が多いのも事実です。 矯正を行うか否かは、親がよく相談して決めましょう。行う場合は子どもの様子をよく見ながら、ストレスのかからない範囲で取り組むことが大切です。

 

(※1)Annals of the New York Academy of Sciences 1288 (1): 48–58

 

文:成田亜希子