病院で受けた点滴で、腕に痛みを感じたことはありませんか? これには2つの理由があります。痛くなったときどうすればいいのか、病院ではどのような処置が行われるのか、今回は「点滴を賢く受けるコツ」についてお届けします。
点滴をするときには看護師も細心の注意を払っていますが、さまざまな理由から痛みを感じてしまうことはあります。
痛みの原因は、大きく2つ考えられます。
痛みの原因<1>薬剤による影響
痛みの理由のひとつめは、薬剤による影響です。
輸液薬剤のpHや浸透圧などの関係で、血管に刺激が加わり、血管内皮細胞が破壊されてしまうために痛みが起こります。
症状が現れるのは、点滴の針が刺さっている部分やその周辺で、痛み、腫れ、赤み、違和感などがあります。
場合によっては、血管の流れに沿って色素沈着したり硬結
(血管が固くなること)する場合もあります。痛みの原因<2>血管の損傷
ふたつめは、血管の損傷。症状は同じく、痛み、晴れ、赤み、違和感などです。
点滴の途中に腕が動いて針先が血管外に出てしまったり、血管内部の壁に当たることで、先端が詰まってしまったりして起こります。
また点滴が長期になる場合は、血管が細くもろくなりやすいため、より損傷しやすくなってしまいます。
いわゆる「点滴が漏れた」と言われるもので、看護師も注意を払っているのですが、防ぎきれないところもあります。
痛みを感じたときの対処法
痛みを感じた場合、まずはすぐ看護師に報告し、確認してもらってください。万が一、点滴が漏れている場合は入れ替えになります。
薬液による影響で痛む場合は、腕を温めるのが効果的。温かいタオルやジェル状の温熱パックを腕の上に乗せると、血管が拡張して痛みが和らぎます。
点滴速度を少し遅くすることでも痛みが緩和されることもありますので、とにかく我慢せず看護師に相談してみましょう。
以前に血管痛を感じた経験があり不安だという場合は、点滴前にその旨を伝えておくと、より慎重に投与を行ってくれるはずです。
点滴しながらチェックすること
点滴漏れと痛みを少しでも防ぐために、自分でチェックすべき点もあります。
特にベッド上で姿勢を変えたときや、トイレに行くために立ち座りの動作をしたときなどは要注意。
点滴をしている腕を動かすと、血管内部で針先の角度が変わり、漏れの原因になりやすいです。
姿勢を変える前後で、
- 薬液がポタポタと落ちる滴下速度が大きく変わっている
- 穿刺部の腫れや赤みがある
この場合は、すぐに看護師にチェックしてもらいましょう。
文/松本 悠里香