子どもが体調を崩したとき、うまく病状を説明できない…というママ、意外と多いようです。
例えば、夜間に子どもの体調が急に悪くなったときに「病院への電話での会話で焦ってしまう」というママ。また受診の際、「混んでいるあまり長引かせてはいけないのでは」と伝えたいことを全て伝えられずに終わって後でモヤモヤ…なんて経験があるママも。
先日公開した「子供の蕁麻疹を撮影に「非常識!」も病状説明には最適 !? 」も大きな反響をいただいたことを受け、今回CHANTO WEBでは3児のママ小児科医・保田典子先生を取材。小児科医の立場で考える「ママがこう伝えてくれると効率的に診断できる」という病状の伝え方を、改めて伺いました。
目次
子供の病状を正しく伝える方法 診察編
最短で的確な診察を受けるためのチェックリストを作る
頼れる先生のいる小児科は、いつも混み合っているイメージ。順番を待っている間に子どもの集中力も限界だし感染症の心配も…。だからこそ、一人ひとりのママが自覚を持って受診の際に伝えるべきポイントをおさえて、最短で的確な診察をしてもらいましょう!
<【受診時】病状を簡潔に伝えるチェックリスト>
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メインの症状
発熱(何度)、咳、喘鳴(ゼイゼイ)、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、発疹、ぐったりしている、など
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いつから
今の状況だけでなく、いつからの症状かも必ず伝えます。
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食事や水分摂取
大切なのは、水分が取れているかどうか。水分を欲しがるか、与えたら飲んでくれるかなどを伝えましょう。多少食欲がない程度では、そこまで深刻ではありません。
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排泄
大切なのは、おしっこが出ているかどうか。脱水の判断基準になります。伝える際は、おしっこが今朝から出ていない、ウンチが朝から10回以上出ている…など、具体的な回数があると、よりわかりやすいです。
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活発度、意識
症状だけでなく、子どもの状態についても伝えましょう。例えば、熱はあるけど遊ぶ元気がある、ずっと寝ていてぐったりしている、話かけてももうろうとして目が合わない…など。
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心配なこと
そのほか、どこが心配で電話相談をしているかを伝えてくださるとさらにいいです。なんの病気か心配、お薬が欲しい、保育園に言われた、脱水じゃないか、など…
ここまでは【電話相談】の場合と同じですね。そのほか、対面の受診の場合は、下記も伝えることで的確な判断材料となります。
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睡眠
昨晩は眠れたかは、非常に重要なバロメーターです。とくに咳や熱などの症状がある場合は、苦しくて寝られない場合もあります。
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周りの流行状況
保育園、幼稚園、学校、家族、一緒に遊んだお友達が、など周りでどんな感染症が流行っているかの情報を伝えて。保育園では流行の感染症がボードに掲示されていたりするので、常にチェックを。
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今までにかかった病気
かかりつけで既往歴を既に伝えている場合をのぞき、○○の病気で入院したことがある、喘息気味と言われている、早産だった…など、心配な状況があれば事前に伝えて。
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家族の病気
家族や親戚の主な持病がある場合も伝えると判断材料となります。例えば親が喘息、叔父が心臓病でペースメーカーを入れている、など。
「あとポイントとしては、受診の場合は対面ということもあり、つい長々と症状を説明してしまいがちです。ですが、まずは受診にきた理由のメインの症状をまず伝えてください。というのは、過去に遡って前からある症状から話をすると、それは一旦治ったものという場合もあります。そうなると病状の診断がしづらい原因にもなります」
写真撮影、動画撮影はむしろ積極的に!
病状の写真や動画を撮ることは非常識なのでは?!といった、賛否両論もちらほら耳にします。そこで、小児科医としての立場としてどう感じられるかを聞きました。
「写真や動画は、じつは私たちとしては大歓迎。言葉で説明されるより、事実が分かりやすくてありがたいです。呼吸に関しても夜になると悪くなる場合が多いので、『今は落ち着いてますが夜が酷い』というい場合は、録音や動画があると分かりやすいです」
写真や動画は非常識ではないんですね!
「非常識といえばどうかなと思うのは、病状の写真をSNSにあげることや、入院中の様子をあげること。入院中の写真はとくに、他の個人情報が入りこむ可能性があるので、やめておいたほうがいいかと思います。また、診察中に撮影をしたい場合は、まず先生の了承を取って」
まとめると…
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写真にすると明確
ウンチ、発疹、予防接種後の腫れ、目の充血、目やに…など、口頭での程度説明が難しいものは写真撮影がオススメ。なお、食物アレルギーが疑われる発疹の場合は、その際に食べたものの成分表示などの撮影をしておくこともオススメです。
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動画にすると明確
寝ている時の呼吸音、呼吸が苦しい時の胸の様子(陥没呼吸など)、痙攣の様子、歩き方など動作が心配な場合…など
「ウンチの場合は、実物のオムツを持ってくるお母さんもいます。それも非常識じゃないです。例えばニオイが気になるといった場合では写真では分からないので、実物があったほうがいいです。逆に、嘔吐物の写真はそこまで参考にならないことが多いです」
排泄物の現物を持ち込むのが抵抗がある人も多いかと思いますが、この意見は参考になりますね!
「ただ、持ち込む場合はビニール袋を2重にするなど、感染症対策を厳重にしていただくといった気遣いは欲しいですね」
ネット検索しすぎのママに忠告!
ネット検索である程度病状を確定させた上で受診し、それを先生に伝えると先入観となってしまい正確な診断ができないケースにつながるという話もあるとか…?それについて聞きました。
「経験のある医師なら、先入観を持ってしまうからネット検索での結果を伝えることがNGということはないです。むしろ『そこが心配なんだな』と頭に入れた上で、総合的な判断ができます。ただ、ネット検索は不安材料のもと。検索しすぎはオススメしません」
「○○の検査をしてください!」これ、困ります…
「困るのが、『この検査をしてください』と検査の強要をされること。インフルエンザの時期などは、多いですね。インフルエンザは発症してから6〜8時間たたないと正確な診断ができないので、しかるべきタイミングで検査を促します。また受験シーズンなど、気を使うべき時期などは医師は理解していますので、そこは安心しておまかせください」
とはいえ、気になることがあるのに伝えずして、悶々としながら家路につくのは、もっとNGなパターン。
「心配ごとは全部受診時で解決する!くらいの気持ちで、短い診察時間を活用してください。『お母さんの勘』がなにより大切な場合もあります。客観的事実だけ伝えるだけでなく、『なんかいつもよりすごくおかしいんです!』なども、伝えていただけるとよいです」
パパや祖父母に託す場合は、メモを渡すといい
あと、「こんなことが困る!」例はありますか?
「メインでお世話する人でない人が連れてくる場合です。よくあるのが、パパやおばあちゃん、おじいちゃんに通院を託した際に…
パパ「熱で」
医師「いつからですか?何度ですか?」
パパ「えーっと。。。」
医師「夜眠れましたか?」
パパ「僕は帰りが遅くて。。。」
など、結構“あるある”なパターンなんです」
細かく口頭で伝えるのが難しい場合は、メモなどで言付けるとわかりやすいそう。
「最近では、ママがパパに病状をラインし、病院に連れてきたパパがそのまま医師にラインを見せるケースもありますよ」
兄弟や家族の状況で伝えるべきこと
そのほか、見落としがちなNG行為についてもお伺いしました。
「兄弟についての情報で、伝えて欲しいことがあります。それは家族構成ですね。例えばママが妊婦さんの場合、下に小さな赤ちゃんがいる場合、おじいちゃんやおばあちゃんなど高齢者と同居している場合は、感染症がより心配されることも。その情報を知っているだけで、アドバイスできる内容も変わってきます」
保田先生に伺った受診の際のポイント、ぜひ次回は活用してみてください。
「そうはいっても、相談や受診の際の失敗を恐れずに、心配なことはなんでも相談してくださいね。遠慮されるママもいらっしゃいますが、そうすると伝わらないこともあります。心配なことは素直に伝えていただいて問題ないですから、安心して相談&受診してくださいね」
取材・文/松崎愛香 撮影/斉藤純平