「メタ認知」という言葉を聞いたことがありますか? 「メタ」というのはギリシャ語の「meta」に由来する「高次な」という意味で、「メタ認知」は自分自身を客観視する能力だそうです。
ベネッセ教育総合研究所はことし3月、東京大学社会科学研究所と共同で行った追跡調査で、成績が上昇した高校生は、自分の学習を客観的に見る「メタ認知」を持っていることが分かったと発表。 仕事力の向上にも効果的とされ、ビジネスの分野でも注目されています。 学習や社会生活にとって大切な力だというのがよく分かるのですが…
でも、難しくないですか?
子どもや自分にとって大切なことかもしれないから知りたい!でもよく分からない!という方も多いと思います。 そこでCHANTO WEBでは今回、メタ認知にくわしい法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生先生に取材。例を出しながら分かりやすく説明してもらいました!
客観的に自分をモニターして、改善しようと行動する力
「メタ認知」という言葉を時々耳にします。「身につけた方がいい」と言われると焦ってしまうのですが、「メタ認知」の意味がいまいち理解しきれません。
分かりやすく教えてください!
渡辺先生
メタ認知は、「自分自身を客観的に見て、改善すべく自分をコントロールする」ということです。
例えば何か説明を受けて「分からないことはありませんか?」と言われたとき、すぐに手を挙げられる人って意外と少ないと思います。それは、「自分は何が分かっていて何が分かっていないのか」を把握できていない人が多いからです。
質問するには、自分がどのくらい理解しているかをモニタリング(観察)・アナライズ(分析)して、たりない部分を聞く力が必要ですよね。これがメタ認知です。
そういうことですか。かなり基礎的な部分で重要な力ですよね。
学力にも関係があるのでしょうか。
渡辺先生
メタ認知は、勉強して成果が出せる子どもとそうでない子どもは何が違うのか、という視点から出てきている概念です。
ケアレスミスを減らし、実のある成果が上がっている子どもはメタ認知力が高い傾向があります。自分をモニターして、自分の至らないところや優れているところを俯瞰することができると、理解が進み、それをもとに行動を調節していくことができます。
例えば、試験勉強の仕方ひとつをとっても、メタ認知ができないとやみくもに片っ端から覚える、という効率に欠けた勉強方法になってしまいますが、メタ認知ができると自分がどのような点を理解できていないかを明確にし、そこを先生に聞くなど効率的な勉強ができます。
テストで何度も問題を読み違えて誤答していることに気づければ、「次からは問題を3回読もう」とか「問題を読むときは線を引きながら読もう」といった改善案を盛り込んだ実践をすることができるようになるわけです。
このところメタ認知が注目されている背景には何があるのでしょうか?
渡辺先生
一般的にメタ認知が注目されるようになったのは、学習だけではなく一般的な生活でも重要であることが分かってきたからだと思います。
自分の感情をマネジメントするためにも、メタ認知が役立つんです。