いつもの料理を美味しくするのは、センスじゃなくてちょっとした知識!使うのはいつもの食材でも、調理のタイミングやコツを抑えておくだけで、家族はあなたの料理にきっと驚くはずですよ。東洋大学食環境科学部健康栄養学科助教の露久保美夏

さんにそんなスゴ技を教えてもらいました。

 

料理のスゴ技!BEST9


1|煮こみ料理はトマトのグルタミン酸うまみアップ!

「グルタミン酸だけでもうまみがアップしますが、特に肉や魚貝に含まれるイノシン酸と相性抜群」。トマトとほかの具材のうまみの相乗効果が起こるそう。トマトは生でも缶詰でもOK!

 

2|肉じゃがは途中で火を止めずやわらかくなるまで煮る

煮もののじゃがいもに火を通すときは、途中で加熱をやめないことが大事。温度が下がるとペクチンとカルシウムが結合し、再加熱してもやわらかくなりにくい。

 

3|炒めものを作るときは"味つけは最後"が決め手

「炒めものの序盤で塩をふってしまうと、浸透圧で野菜の水分が出てしまいます」。野菜はしなしなになり、塩をふったのに味もぼやけがちに。香りが大事なこしょうも最後に。

 

4|ステーキ肉は弱火で焼きはじめ最後に強火で焼き色をつける

「タンパク質が急激な収縮と凝固を起こしてしまうのが65度以上。肉の温度をそれ以下にキープして焼くとレストランみたいにおいしく焼けますよ!」。温度が上がりすぎないよう3分ずつで裏表を返すのもポイント。

 

5|重曹パワーふわふわの卵焼きが完成!

「加熱すると重曹から二酸化炭素が発生するので、その気泡でふわふわに」。時間がたっても気泡を抱えたままなのでお弁当のおかずにもおすすめ。量の目安は、卵1個に小さじ1。

 

6|麺類をゆでるときは鍋の縁に菜箸を置くふきこぼれない

ふきこぼれの原因は、鍋の中に一定の対流が起こることでたまる泡。「ふきこぼさないためには、対流を乱せばいいんです。菜箸を縁にかけておくと、ふきあがった湯が触れて乱れが起こり、ふきこぼれません」

 

7|葉ものの緑黄色野菜はたっぷりのお湯でふたをしないサッとゆでる

「シャキッとしたゆで上がりにするには、短時間でゆでるのがポイント」。少量のお湯では野菜を入れたときに温度が下がってしまうので、お湯はたっぷりと。揮発性のアクをとばすためにふたは不要。

 

8|牛乳を入れてゆでると麺が鍋底にくっつかない!

ゆでこぼしたあとの鍋に麺がはりつくプチストレスは牛乳で解決!「鍋にタンパク質の膜ができて、麺がするんと離れてくれます」。味やにおいもつかず、仕上がりに影響なし!

 

9|みそ汁は最後の"みそ"香りよく仕上げる

「みその香り成分は揮発性で、加熱でとんでしまうんです。だから仕上げに溶き入れたら、すぐに火はストップして」。さばのみそ煮も仕上げにみそをたすと香り豊かに。

 

教えてくれたのは…

露久保美夏さん

東洋大学食環境科学部健康栄養学科助教。調理のコツに隠された科学のおもしろさと、五感を使って味わうことの大切さについて、講演などを通して伝えている。

 

取材・文/藤屋翔子 撮影/菅井淳子